ポラスグループ 中央住宅、世界的デザインアワードで戸建分譲住宅として初受賞
4邸の協定を活用した庭小路、街並みなどが高評価
戸建分譲住宅「リーズン我孫子 綴りのまち」(全4棟)が世界3大デザイン賞の一つ「ⅰFデザイン賞」を受賞した。ポラスグループ、また日本の戸建分譲住宅として初の受賞となる。
同物件は、かつて志賀直哉や武者小路実篤など数多くの文人が別荘を構え、「北の鎌倉」と呼ばれた風光明媚な土地である我孫子市手賀沼周辺に位置する4棟の分譲住宅。販売価格は4000万円台。2021年7月に販売を開始、同年10月に完売した。最大の特徴は各邸が所有権のある敷地の一部を供出し創出した庭小路だ。開発道路を挟んだ従来の区割りではなく、地役権を設定した上で、4邸の協定により開発道路をコモン化し幅6mの庭小路を創出、また、植栽やベンチを配置し道路にまで庭同様の景観を実現。さらに、敷石を用いて境界をまたぐように円、半円のモチーフを描くことでコモンスペースと各敷地の連続性を演出した。
加えて、住空間と専用庭との間に半外部空間として庇のある縁側テラスを計画、半外部空間を介し庭小路の景観を住空間へとつなぐ。各邸の庇の高さを揃え、庭小路のデザインと馴染むように、外壁のデザインも木目調をベースに落ち着いた色調で揃えることで、統一感のある街並みを形成した。住まい手の憩いの場所となる公園のようなスペースが日常を彩る。従来型分譲地開発に比べて、コモンスペースと外構の工事を同時に行うことにより工事期間を2~3カ月短縮でき、造成費を抑えられる。抑制した費用を暮らしの価値となるデザイン費に充当した。庭小路の維持管理については、建物のメンテナンス計画と連結させ、引き渡しから3カ月、1年、2年、5年、10年、20年と点検する計画を立てており、庭小路の風景の持続化を図る。
小規模の分譲地で、各邸の協定により開発道路をコモン化する事例はこれまでにもあったが、内部空間と外部空間が緩やかにつながるデザインを採用し、さらに各戸の外構デザインも含め、統一感を持たせることは今回が初の試みだという。戸建分譲設計本部 設計一部 営業企画設計課の山下隆史参事は「かつて文化人が暮らした地域性、地脈を表す分譲地とするために、4邸の協定を活用した庭小路のある街づくりを行った。庭小路に面する縁側テラスは住まう人をまるで別荘にいるような気分にさせる。宅地開発と地域文化の薄れる関係を再構築した」と話す。
こうしたデザイン面の工夫が高く評価され、日本の戸建分譲住宅として「ⅰFデザイン賞」を初受賞した。同アワードは、1953年にドイツ、ハノーファーで誕生した世界で最も歴史の長いデザインアワードで、世界60カ国から1万点を超える応募がある国際コンペティション。ⅰFのロゴは優れたデザインの証として世界で広く認知されており、IDEA賞(アメリカ)、レッドドット・デザイン賞(ドイツ)と並び「世界3大デザイン賞」と呼ばれている。23年5月にドイツ、ベルリンで開催された表彰式には設計担当者が出席した。
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