断熱、省エネ性能に係る表示基準を改正 上位等級追加で住宅の高性能化を促進

住宅性能表示制度

住宅性能表示制度の表示基準が改正され、断熱等性能等級および一次エネルギー消費量等級に上位等級が新設された。

脱炭素に向け、住宅の省エネ性能強化が早急に求められるなか、住宅性能表示制度が大きく変わった。

住宅性能表示制度は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)を構成する三本柱のひとつで、良質な住宅を安心して取得できる市場の形成を図る目的で2000年に施行された。構造耐力や省エネ性など、異なる事業者が手掛ける住宅性能を統一した基準で表示するため、住宅購入時の性能比較などで役立つ。制度開始当初は新築住宅のみを対象としていたが、2002年に既存住宅も追加された。

性能評価は、国が定めた「評価方法基準」に基づき、全国の第三者評価機関が実施。設計段階をチェックする「設計住宅性能評価」と、建設工事・完成段階をチェックする「建設住宅性能評価」の2段階で、求められている性能通りの設計であるか、評価を受けた設計通りの施工がされているかについて、それぞれの結果を性能評価書として交付する。

同制度で表示する性能は、新築住宅では①構造の安定、②火災時の安全、③劣化の軽減、④配管の維持管理・更新への配慮、⑤温熱環境・エネルギー消費量、⑥空気環境、⑦光・視環境、⑧音環境、⑨高齢者等への配慮、⑩防犯対策の計10分野33項目。

一方、既存住宅の性能表示は外壁などのひび割れや床の傾きなど、目視で確認できる範囲について検査する「現況」と、新築から⑧音環境を除いた9分野28項目+既存住宅限定の検査項目である石綿関連の2項目から成る「性能」の2点から評価する。客観的な評価を受けられるため、住宅売買時の不安解消につながる。

こうした住宅性能評価書付きの住宅では、【フラット35】Sの利用が可能になるほか、公共団体による住宅ローンの優遇、地震保険の割引などが受けられる。例えば、地震保険の割引率は耐震等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%が適用される。

等級追加で断熱、省エネが加速
脱炭素の実現へ

「2050年カーボンニュートラル」宣言以降、様々な業界で脱炭素の動きが急拡大している。カーボンニュートラルの実現に向けては、2030年度にCO2排出量を2013年度比で46%削減する目標が掲げられており、特に家庭部門では66%の削減が求められている。こうしたなか、住宅業界でも近年、主に新築においてZEHをはじめとする高性能住宅が続々と供給され、住宅の高性能化が進んでいる。


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