建材をつくる段階のCO2削減も エンボディドカーボンへの対応が重要に

早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 建築学科 教授 田辺新一 氏

早稲田大学
理工学術院 創造理工学部 建築学科
教授 田辺新一 氏

──〈プレミアム住宅建材50〉のうち、特に注目する建材を挙げてください。また、それらの建材について、注目する理由、どういったところを面白いと思ったのかを教えてください。

2022年6月、改正建築物省エネ法が公布され、住宅・建築物の省エネ対策の動きが一気に加速しています。2025年4月には、すべての住宅・建築物へ省エネ基準の適合が義務化され、遅くとも2030年までに省エネ基準をZEH水準に引き上げ、適合が義務付けられます。

現在、省エネ基準に適合する新築住宅は、全体の約8割に上ります。その次の段階として、いわゆるZEH水準や、2022年10月から住宅性能表示制度において新設された断熱等性能等級6、7のレベルの外皮性能が求められていきます。この時、なかなか充填断熱だけでは対応できないということが出てきますので、高性能な断熱材、窓などはすごく重要だと思います。

その点で、まず注目したのは、旭ファイバーグラスの「建築用真空断熱材」です。等級6、7のレベルの断熱性能を目指そうとすると、充填だけでは難しくなり、付加断熱が必要なケースが出てきます。海外のように、壁厚が厚くてもいい住宅であれば大丈夫ですが、日本では、やはり壁の厚みを考えて設計しますし、床面積などが狭くなると困るので、薄い断熱材が重要になります。真空断熱材は冷蔵庫にも使用されています。日本の住宅では、冷蔵庫を置ける場所は限られることが多いため、容量が500、600、700ℓと大きくなると困るわけですが、最近では、真空断熱材を採用することで、従来のサイズのまま、あるいはスリム化しながら、容量を大きくすることが可能になっています。住宅にも同じことが求められていると言えそうです。敷地面積が限られ、狭小な住宅が多い日本では、断熱材は薄く、かつ高性能であることが重要であるため選びました。

すでにドイツでは、真空断熱材の規格も整備され、住宅・建築分野で使用され始めています。大学と民間企業の連携により、先進的な技術や新たな住まい方を提案する「エネマネハウス」の取り組みで、私も実際に真空断熱材を使ったことがあります。決められたところにしかクギを打てないことは大変でしたが、その施工法を上手く解決できれば、壁厚を厚くしないで、UA値がかせげるので、すごくいいなと思っています。


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