2022.12.21

中央電力、マンションでの在宅避難を可能にするサービス提供へ

初期費用無しで太陽光発電と蓄電池を設置

中央電力が一括受電サービス「EneAll」を採用するマンション向けに、初期費用無料で太陽光、蓄電池の取り付けを行うサービスを2023年4月から開始。災害時の電気利用を可能にし、在宅避難の環境を整える。

太陽光で発電した電力を非常時に使用できる

中央電力(東京都千代田区、丹治保積代表取締役社長)は、マンションへの一括受電を業界に先駆けて開始し、国内シェアトップを誇る電力会社。

一括受電とは、通常であれば専有部ごとに契約する電気を、建物一棟単位の高圧契約に変更することで、単価を安くし電気料金の削減につなげるもの。共有部で年間30~50%のコスト削減が期待でき、専有部でも家庭の平均使用量帯である300kWhで4.6%減と、他社に負けない削減率を実現している。法人ビルなどと同じ大口契約となるため、専有部の部屋面積の規定や、10年契約で途中解約は不可などの条件はあるが、個別契約から一括受電へのプラン変更でのコストダウンであれば、電力価格が値上がりするなかでも削減率を維持できるのが強みだ。一括受電サービス「EneAll」は、電力自由化に伴い今年4月にリニューアル。共有部での電力コスト削減に軸を置いていたものを、電力消費量ごとに専有部でも電気代の削減を実感できる仕様に変更した。

甚大化する自然災害
電気供給を止めずに安心の在宅避難を

近年、自然災害の頻発化により、都心などの人口密集地を中心に在宅避難という考え方が広まりつつある。そうしたなかで注目されるのがマンションの停電対策だ。エレベーターの稼働などのほか、高層階へ水を送るためのポンプにも電気が使われているため、マンションでの避難に電気は欠かせない存在である。

同社が2023年から開始する新サービス「マンション防災サービス」は一括受電と併用することで、太陽光システムと蓄電池を初期費用無料(工事費込み、メンテナンス費別)で設置。蓄電池に電気を貯めておくことでいざという時に、安心して生活ができる。太陽光パネルは太陽光で発電した電力を使うことによる送電費との差額分、蓄電池は価格の安い夜間に購入した電力を昼間に使うことでの差額分で初期費用を償却する。費用を賄うために、設置する太陽光パネルの台数がある程度必要になるので、自家消費量の多い一括受電との併用のみとしている。

分譲マンションをメインとして賃貸マンションを含めた既存マンションに向けてサービスを提供するが、既存の分譲マンションの太陽光パネルの導入については、毎月の修繕積立金では高額な初期費用を補いきれないため、追加徴収が必要となり、住民の同意が得られず普及していないのが現状だ。東日本開発営業部長の佐藤光宏氏は「『マンション防災サービス』は、費用をかけずに太陽光パネルを設置できる唯一無二のサービス。初年度で300棟への設置承諾を目指してアプローチしていきたい」と意気込みを語った。