国産材業界の足腰を強化したい 林業、製材のそれぞれに課題
利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。
林業の経営力を高めたい
しばらく前のことになるが、半世紀以上も木材ビジネスに従事してきた人から「今の林業・木材業界は経営者を育てることにもっと力を入れなければいけない。木の伐り方や搬出の仕方を教える木こり講座のようなことばかりやっているが、むしろ経営者に経営の何たるかを教える必要がある」と指摘されたことがある。
林業界では「緑の雇用」という国の事業で、現場の作業に従事する人たちの育成が図られている。だが、言われてみれば、確かに経営者向けの講座というのはあまりない。森林組合の役員研修会といった催しは開かれているが、内容はコンプライアンスに関するものであったり、昨今の林業・木材業界をめぐる情勢について説明を受けるものであったりといったものばかりである。それらも有用な学びになるとは思うが、経営力を高める効果があるかと言えば、ちょっと違うような気がする。
もちろん、林業界にもすぐれた経営者は何人もいる。だが、現実には補助金に頼り切った経営に終始している例があまりにも多い。当然、独創性を求むべくもなく、差別化を図ろうという意欲も希薄だ。課題を解決する方途としては、補助率のかさ上げや補助対象範囲の拡大を求めるばかりで、自分で考え、工夫し、トライを重ねて将来を切り開こうという姿勢が見られない。思考停止状態に陥ってしまっているのである。
補助がないから個性が際立つ
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