世界と戦える企業になるために 創業からのDNAを受け継ぎ製品の質向上へ

アイジー工業 代表取締役社長 高光克典 氏

2021年6月に社長に就任、アイアンショック、フッ素ショックなど激変する市場環境のなか1年を駆け抜けた。今後どのような成長を見据えるのか──。海外で培った鋭い視点で、これからのアイジー工業の在り方について語った。

国際市場で勝ち抜けない日本
デフレで生まれた〝格差感〟

──海外でも働かれていたようですが、日本との差をどのように感じられていましたか。

アイジー工業 代表取締役社長 高光克典氏

商社時代に海外で働いていたころから、日本の物価の安さに危機感を抱いていました。海外では、昼食が2000円や3000円するのは当たり前で、2~3ドルでは水も買えません。マクドナルドのビッグマック価格の世界ランキングがありますが、日本は33位と後進国並みの安さです。バブル崩壊後から続く長期的なデフレの結果ですが、このままでは、日本が国際市場で戦うことは困難でしょう。事実、モノの多くが中国へと流れてしまっています。例えば、私が長く携わってきた木材貿易において、中国は日本より高い価格を提示し、細かいことに注文を付けずに大量に買うため、瞬く間に日本市場を凌駕しました。

日本では所得格差が広がっていると言われていますが、データを見ると一概にはそうとも言い切れません。格差を定量的に示す国際的指数である「ジニ係数」の推移をみると、確かに日本の当初所得ジニ係数は相対的に高くこのことは大きな課題です。一方で、社会保険料や税金を控除し、社会保障給付を加えた〈所得再配分ベース〉のジニ係数は近年改善傾向で、実質的な格差は縮小傾向にあります。しかし、経済成長の只中にあったような「明日は今日よりも良くなる、働いていれば給料が上がっていく」といった前向きな気持ちを持てないため、消費に使うお金が減り、贅沢な生活をするごく一部の高所得者を羨ましく思う”格差感”が広がっているのだと思います。


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