オンライン集客・営業の必須ツール　住宅・不動産業界のためのVRの選び方

コロナ禍以降、急速に住宅・不動産業界に浸透したVRを活用した集客・営業ツール。
普及とともに、様々な機能を備えたVRツールが登場してきているが、目的に応じてどのようなツールを選択すれば良いのか迷ってしまうことも事実。
そこで、住宅・不動産業界のVRの選び方について解説する。

VRとは、Virtual Reality（バーチャル・リアリティ）の略。日本語では仮想現実などと呼ばれる。360度の画像や動画などを用いて仮想現実を作り出し、自宅に居ながら海外の景色を体験するといったことが可能になる。専用のゴーグルなどを利用することで、より没入感が高い体験を味わうこともできる。

とくにコロナ禍以降、住宅・不動産業界において、このVRを用いたツールの存在が重要になった。

モデルハウスなどに見込み客を集客し、そこから追客活動を行うという営業活動が難しくなるなかで、VRを用いて自宅に居ながらモデルハウスなどの雰囲気を味わえるようにしようという動きが活発化したのだ。また、オンラインでの営業活動において、VRを上手く利用しながら訴求力を高めようという企業も増えている。

こうした住宅・不動産業界の動きに合わせて、様々なVRツールが市場に登場しており、機能なども拡充されている。

2次元の写真やCGでVR空間を表現するパノラマ画像群

VRを用いたツールには、大きく2つのタイプがある。「パノラマ画像群」と「リアルタイム3DCG」と呼ばれるものだ。

まずパノラマ画像群については、2次元の画像などを3次元空間の360度全てに貼り付ける形で仮想現実を創造するイメージだ。代表的なものがGoogleのストリートビュー。利用者が仮想現実内で移動すると、その瞬間にあらかじめ用意された次の空間を表現する画像へと切り替わっていく。その仕組みを活用することで、仮想空間を創造していく。

パノラマ画像群は、写真を使ったものとCGを利用したものに分けられる。このうち写真を用いたものは、360度を撮影できる専用のカメラでモデルハウスなどを撮影し、その画像をもとにサービス提供者がVRを作成していく。専用のカメラを使えば簡単に撮影が行えるため手軽にVRを生成でき、価格も安い。ただし、モデルハウスが完成していることが大前提となる。

これに対して、360度CGを活用したパノラマ画像群については、高精細なCG画像を用いてVR空間を創造する。そのため、完成前のマンションの部屋などをよりリアルに体験することが可能だ。

ハイスペックマシンで時間をかけてCGを生成していくことで、実際の写真と区別がつかないものにすることもできる。しかし、VR空間を生成するために、1枚1枚、CGを制作する必要があり、ある程度の時間と費用が必要になる。また、あらかじめ用意された空間にしか移動できない。

即時に描画するリアルタイム3DCG群

一方、リアルタイム3DCGと呼ばれるタイプは、仮想空間の中を自由に歩き回ることができるVRだ。

ユーザーの操作に応じて画面をリアルタイムに更新することで、仮想空間の好きな場所を見ることができる。画面の更新頻度は1秒に30〜50コマほどで、アニメーションのような滑らかさがある。

360度、自由に移動できる「オープンワールド」と呼ばれるゲームなどに近いイメージだ。

また、実際の天井高を計測したり、壁紙の色などを変えながらシミュレーションを行うといったことも比較的簡単に行える。

リアルタイム3DCGは、さらにアプリ系とWebGL系に分かれる。

アプリ系は最新のハードウェアを使うことで、高品質かつ臨場感のあるVRを体感できるものだ。非常に現実に近い体験を得られる一方で、専用のハードウェアなどが必要になるため価格は高くなる。

WebGL系は、通常のブラウザ上などでリアルタイム描画を行うもの。インターネットに接続できる環境とデバイスがあれば、簡単にVRを体験でき、アプリ系と比較すると安価に利用できるものが多い。ただし、どのような環境下でもスムーズにVRを体験するためには、データ容量をできるだけ少なくすることが求められるため、画像の精度には制約が発生することもある。

パノラマ画像群の360度写真系と360度CG系、リアルタイム3DCG群のアプリ系とWebGL系という大きく4つに分けてVRツールについて説明してきた。それぞれの特徴を把握することで、より効果的なVR活用へとつながり、これからの時代に適した集客・営業活動の実現に貢献しそうだ。