豊かさ、幸せ感を実感できる分散型社会を

価値観の多様化のなかで移住の主役は若年層へ

コロナ禍、東日本大震災、働き方改革―人々の価値観の変化、多様化が進むなか移住に対する関心が高まっている。移住希望者、また、移住政策を進める自治体にはどのような変化が起こっているのか、また、移住が広がる先に何があるのか、認定NPOふるさと回帰支援センターの高橋公理事長に聞いた。

認定NPOふるさと回帰支援センター
高橋 公 理事長

──地方移住希望者の近年の推移や変化について教えてください。

高橋 2021年にふるさと回帰支援センター(東京オフィス)で受けた移住相談件数は4万9514件と過去最高になりました。移住をめぐる環境が大きく変わるターニングポイントは2014~2015年です。2014年に国が「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定したことをきっかけに移住に対する関心が高まり相談件数が大きく伸びました。有楽町の交通会館にある東京オフィスの相談ブースも、それまでの5県から2015年は27県1政令市に増え、現在では42県1政令市となっています。

センター利用者の年齢は、2008年には40代以下が3割でしたが、2020年には74%と、この10年間で中高年から若者へとシフトしてきました。この変化に伴って移住先選択の条件も、かつては「自然環境が良いこと」が一番の人気でしたが、現在では20~40代が増加したことから「就労の場があること」が57%、「自然環境が良いこと」が35%と、移住先での仕事を重視するようになっています。

若者の移住希望が増えている背景には価値観の多様化があると考えています。ゆとり世代と呼ばれた層が30歳前後となり、自立的で社会貢献などに積極的に取り組む層で移住に対する関心が高まっています。また、阪神・淡路大震災、中越地震、東日本大震災という大規模災害が社会に与えた影響も大きいと思っています。例えば、相談者のうちUターン希望者はかつて2割程度でしたが、東日本大震災以降増加して3割前後を占めています。東北出身者が出身地の復興に関わりたいとUターン移住するケースもありました。

──移住への関心が高まるなか、自治体の対応に変化はありますか。


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