宇宙ビジネス、その可能性
民間による宇宙ビジネスへの期待感が高まっている。その市場規模は2040年に120兆円とも試算されており、住宅業界でも大手ハウスメーカーで月面居住施設の実現に向け研究開発に取り組む動きが出てきている。新たなフロンティアになる可能性があるとともに、最先端技術の地球での応用にも期待が持たれている宇宙ビジネス──。住宅業界での可能性を探る。
市場規模は120兆円
民間の参画が加速、住宅業界からも
世界的に民間の宇宙ビジネスに大きな注目が集まっている。米国ではテスラCEOのイーロン・マスクやAmazon創業者ジェフ・ベゾスなどがロケット開発事業に相次いで参入。日本でも実業家の堀江貴文氏が宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズを立ち上げ、2021年にロケットの宇宙空間への打ち上げに2回連続で成功した。
こうした動きにより、民間企業が開発したロケットで宇宙旅行を楽しむ民間人も出てきている。日本では、昨年12月、衣料品通販大手「ZOZO」創業者の前澤友作氏が国際宇宙ステーション(ISS)への滞在を行ったことは世間の注目を集めた。
ここにきて、民間の宇宙ビジネスが活発化している大きな理由の一つは宇宙航空関連の部品価格が下がり、民間企業でもロケットや衛星を開発できるようになったことだ。そして、世界的に国や公的機関がこうした動きを後押しする流れが加速している。日本も例外ではない。政府は2020年6月に今後10年間の宇宙政策をまとめた新たな「宇宙基本計画」を閣議決定。官主導だった宇宙開発への民間参入を拡大する方針を打ち出し、現状で約1兆2000億円である国内の宇宙産業の規模を2030年代早期に倍増させる方針を示した。また、JAXAは民間企業の宇宙開発ビジネスの取り組みを支援するプロジェクト「宇宙探査イノベーションハブ」の取り組みを積極的に推進している。
世界の宇宙ビジネス市場は2020年の43兆円から2040年に3倍の120兆円に拡大するというモルガンスタンレーの試算もあり、今後の広がりが期待されている。
宇宙は、行くから“住む”へ
月面居住の実現に向けた取り組み進む
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