2021.10.26

国土交通省、住宅脱炭素化で制度の見直しに着手

22年1月に取りまとめ、関連法制度の改正へ

国土交通省は、住宅脱炭素化で制度の具体的な見直しに着手した。2022年1月に議論を取りまとめ、関連法制度の改正を行う方針だ。


国土交通省は、10月4日、「社会資本整備審議会第45回建築分科会」、「第20回建築環境部会」「第17回建築基準制度部会」の合同会議を開催し、住宅・建築群の脱炭素化や木造化の促進などに向けて、制度の具体的な見直しの議論に着手した。

初回の合同会議では、検討すべき論点を整理し、今後の検討の方向性を示した。論点は(1)「新築住宅・建築物における省エネ基準への適合の確保」、(2)「省エネ基準の段階的引上げを見据えたより高い省エネ性能の確保」、(3)「既存ストックの省エネ対応等」、(4)「建築物における再生可能エネルギーの利用の促進」。(5)「小規模木造建築物等の構造安全性を確認するための措置」、(6)「中大規模建築物の木造化や、混構造などの部分的な木造化の推進」、(7)「既存ストックの長寿命化に向けた省エネ改修の円滑化等のための措置」。

このうち、(1)「新築住宅・建築物における省エネ基準への適合の確保」については、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(あり方検討会)の方針を踏まえ、新築住宅の省エネ基準への適合を義務付ける範囲やその水準、時期について検討する。また、未習熟な事業者の技術力向上や、申請側・審査側の負担軽減など、円滑に義務化を行うための施策についても議論を行う。

(2)「省エネ基準の段階的引上げを見据えたより高い省エネ性能の確保」については、「2030年度までに新築住宅の省エネ性能をZEH水準まで引き上げる」というあり方検討会の方向性を踏まえ、省エネ基準の段階的引上げやそれを見据えた対策の進め方について議論する。特に、誘導基準のZEH基準への引上げや、住宅性能表示制度における省エネ基準を上回る等級の設定について、具体的な措置を検討する。

(3)「既存ストックの省エネ対応等」では住宅ストックのうち省エネ基準に適合していないストックは約89%もあるため、既存ストックの省エネ性能向上に向けて省エネリフォームを促進するための施策を検討する。ただし、既存住宅での省エネ性能の向上は、新築での取り組みに比べてコストが高いといった課題があることから、強い動機づけを与えられるような施策を議論する。

(4)「建築物における再生可能エネルギーの利用の促進」については、2030年に住宅への太陽光発電の導入を6割に引き上げるという目標の達成に向けた具体的な施策を検討する。都市部の狭小地や積雪地域などの”条件不利エリア”での利用拡大も含めた議論を行う方針だ。また、太陽光発電の導入拡大については、委員から「コストが掛かるためインセンティブが必要」との意見が多く出されたため、こうした視点も踏まえた施策の検討を行う考え。

今回の検討会では論点の提示と大きな方向性を示したにとどまったが、次回10月29日の検討会では今回の議論と書面による委員からの意見を集約し、より具体的な議論の内容に入る。そして、2022年1月頃に最終とりまとめを行ったうえで、その内容に基づき建築基準法や建築物省エネ法などの法改正を行う予定だ。