行政 |  2020.2.19

自然災害の頻発・激甚化で都市再生特別措置法など改正へ

自己業務用施設も災害レッドゾーンでの開発原則禁止

頻発・激甚化する自然災害の発生を踏まえ、政府は都市再生特別措置法などを改正する。災害危険区域など災害レッドゾーンでの開発を「自己の業務用施設」でも原則禁止するなどが柱。今通常国会で改正案を提出する見通し。


国土交通省は1月下旬に開いた都市計画基本問題小委員会で改正案の内容を説明した。都市再生特別措置法や都市計画法などを束ね、安全なまちづくりのための総合的な対策を整備する。対策の柱となるのは①災害ハザードエリアの開発抑制②災害ハザードエリアからの移転促進③立地適正化計画の強化――の3つだ。

災害レッドゾーンでの開発を原則禁止しているのは現行では、「自己以外の居住の用に供する住宅(分譲住宅、賃貸住宅など)」と「自己以外の業務の用に供する施設(貸オフィス、貸ビル、ショッピングモールを含む貸店舗、レンタルボックスを含む貸倉庫など)」。

この規制対象に「自己の業務の用に供する施設」を追加する。同省によると、自社オフィス、自社ビル、スーパーやコンビニエンスストアを含む自社店舗、病院、社会福祉施設、旅館・ホテル、工場、倉庫などを例に挙げる。

災害レッドゾーンは災害危険区域、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域の4区域。法改正されれば、この区域での開発が自己の業務用施設でも原則禁止となる。

市街化調整区域での浸水ハザードエリアの住宅などの開発許可は厳格化する。安全上及び避難上の対策などを許可条件とする。

また、現行法では市街化調整区域でも地方公共団体が条例で区域を指定すれば、市街化区域と同様に開発が可能と規定している。

災害の防止が図られるよう、この部分を政令で区域指定の基準を設定することを法律に明記。政省令で、条例の区域から災害レッドゾーンと浸水ハザードエリアを除外することを規定する。

災害レッドゾーンの開発に対する公表制度も創設する。立地適正化計画の居住誘導区域外にある災害レッドゾーンで届け出のあった開発行為への勧告に従わない事業者名を公表できるようにする。

災害ハザードエリアからの移転促進では、市町村が主体となり移転者などのコーディネートを行い、移転に関する具体的な計画を作成し、手続きの代行などを行う制度も創設する。

立地適正化計画の強化では、記載事項に「防災指針」を追加し、市町村は居住誘導区域などで行う防災対策・安全確保を定める。同省によると、防災指針の記載例としては、避難路、避難地となる防災公園、避難施設などの整備や災害レッドゾーンの開発などへの勧告・公表の基準、防災移転計画などが示されている。

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