温暖化で短時間強雨20世紀末の2倍へ 待ったなしの豪雨対策

③自然災害に立ち向かう新たな住まい

近年、台風や集中豪雨により河川氾濫、土砂災害など大きな被害が相次いでいる。
地球温暖化に伴い、ますます激甚化・頻発化する自然災害。住生活産業は、この難題にどう立ち向かっていくのだろうか。

2011年3月に発生した東日本大震災から今年で10年を迎えた。その後も、熊本地震などの地震が起きたが、この10年間で地震以上に激甚化・頻発化した自然災害は大雨による水害だ。

の原因とされているのが地球温暖化の影響だ。その影響で、近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化している。気象庁の資料によると、1日の降水量が200mm以上の大雨を観測した日数は、1901年以降の統計期間で、最初の30年と直近の30年とを比較すると、約1.6倍に増加している(全国51の観測地点)。また、全国約1300の観測地点があるアメダスの観測データによれば、1時間降水量50mm以上の短時間強雨の発生頻度は、近年増加傾向にあり、1976年以降の統計期間で、最初の10年と直近の10年を比較すると、約1.4倍に増加している(全国約1300の観測地点)。

大規模な水害被害として記憶に新しいのが「令和元年東日本台風」だ。2019年10月10〜13日までの総降水量は多いところで1000mmを超えた。多くの河川で決壊が発生し、国管理河川では6水系7河川14か所、都道府県管理河川では20水系67河川128か所で決壊が発生した。大型河川が同時に氾濫するという、これまでに類のない豪雨被害をもたらした。この台風での住家被害は、全壊が3273棟、半壊・一部損壊が6万3743棟、浸水が約3万棟に上った。この翌年は7月に熊本県などを襲った「令和2年7月豪雨」が発生。死者・行方不明者が80人超、住宅の全半壊だけで約6000戸に上った。2021年も梅雨前線による大雨被害が各地で発生した。

「令和2年版防災白書」では、気象庁の予測として、今後、温室効果ガスの排出が高いレベルで続く場合、1日の降水量が200mm以上となる日数や1時間降水量50mm以上の短時間強雨の発生頻度は全国平均で今世紀末には20世紀末の2倍以上になると示している。こうした背景から、国は都市再生特別措置法など関連法を改正し、水害などの危険性の高い災害ハザードエリアでの開発抑制や移転促進に乗り出した。例えば浸水被害防止区域を創設し、住宅や要配慮者施設等の安全性を事前確認するため、都道府県に対し浸水被害の安全性を証明し許可を得ることを義務付けるなど制度整備が進んでいる。

頻発する水害で生活者の防災意識も変化


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