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【TOPINTERVIEW】10年で売上高倍増、1兆円狙う戸建シェアNo.1獲得へ土地戦略強化 まちづくり事業を3本目の柱に

積水化学工業 常務執行役員 住宅カンパニー プレジデント 神𠮷利幸氏

今年1月1日付で、神吉利幸氏が積水化学工業 住宅カンパニーの新プレジデントに就任した。前職の住宅営業統括部長を継続し、新設した「まちづくり事業推進部」の責任者も兼任する神吉プレジデント新体制のもと、積水化学工業はどのような住宅事業の道筋を思い描いているのか──。新プレジデントがそのビジョンを語った。

積水化学工業 常務執行役員
住宅カンパニー プレジデント
神吉利幸氏
1961年生まれの57歳、大阪府出身。1983年、関西大学法学部卒。同年、積水化学工業入社。2012年、セキスイハイム東北 代表取締役社長。2015年、執行役員・東京セキスイハイム 代表取締役社長。2018年 常務執行役員・住宅カンパニー 住宅営業統括部長を経て、2019年1月1日に常務執行役員・住宅カンパニー プレジデント(兼)住宅営業統括部長(兼)まちづくり事業推進部長に就任。

──プレジデント就任にあたっての抱負を聞かせてください。

今後10年くらいのあいだに、売上高を1兆円に倍増させることを目標に、カンパニーを大きく成長させていきたいと考えています。そのために掲げるビジョンは大きく2つ。一つ目は、コア事業である新築・リフォームを確実に成長させること。もう一つは、3本目の柱となる事業を新たに創出し、売り上げのトップラインを上げていくことです。

まずは一つ目についてお話します。私はプレジデントになっていくつか決意を持っていますが、その一つが戸建住宅のシェアナンバーワンを狙うことです。次の中期経営計画の間(2020年度以降)には達成したいと考えているのですが、既に手応えは感じています。

今、弊社が戸建住宅事業で最も重視していることは、住宅と土地の一体的な提供戦略です。これまで、ここが弱かったのですが、逆に言うと他社に比べて伸び代があると言えます。今年1月1日、私が責任者を務める住宅営業統括部の中に新たに「分譲推進部」を設置し、土地の仕入れから売り建ての販売までを各エリアと連携して進める体制も構築しました。取り組みをさらにスピードアップすることでシェアナンバーワンを狙えると考えています。

戸建てシェアナンバーワンに向け、営業マンを増やして営業拠点の強化も図ります。特に、従来とは異なるかたちの営業拠点「セキスイハイムミュージアム」の展開を加速します。これはVR・ARを活用した“体感型”のショールームで、広く集客を図る施設ではなく、一度総合展示場に来場した方に来ていただき、弊社の家づくりの考え方や際立ちを納得してもらおうという意図で展開しています。

特にVRはセキスイハイムのユニット工法住宅の特徴を知ってもらううえで、非常に親和性があります。一般的に、住宅業界ではインテリアのイメージをつかむための手法としてVRが使われていますが、「セキスイハイムミュージアム」では弊社の家づくりを体感してもらうために活用しています。鉄骨が切り出され、ジョイントピースで接続し、構造が組み上がっていく工程を迫力あるVRで見ていただくことで、セキスイハイムの考え方や際立ちがより一層伝わり、納得感を持ってもらえます。

若い営業マンでも「セキスイハイムミュージアム」にお客さまをお連れすれば、セキスイハイムの特徴を十分に伝えることができる。結果、折衝回数を3割から4割少なくでき、営業効率は倍以上あがることが数字にあらわれており、働き方改革にもつながっています。

今年度の上期に栃木、近畿、中部の3か所でスタートし、下期中に9か所で展開する予定でしたが、反響は予想以上に大きく、全国12カ所もの販社からエントリーがありました。現場が一緒になって、「セキスイハイムミュージアム」を増やそうとしてくれている。その勢いを感じています。

従来とは異なるかたちの体感型の営業拠点「セキスイハイムミュージアム」で、納得感を高めた営業を推進していく

──売上高1兆円へ向けたもう一つのビジョンについて教えてください。

現在のコア事業だけでは売上高1兆円の実現に向けてそれほど大きな伸びは期待できません。したがって、新たな事業を立ち上げる必要がありますが、私たちが掲げたのは「まちづくり」です。

今年1月1日、住宅カンパニー内に「まちづくり事業推進部」を新設し、私が住宅営業統括部とともに、まちづくり事業推進部の責任者も兼任し、“肝入り”で進めていきます。

まちづくり事業推進部は、積水化学グループ全体の共創のプロジェクトで、100区画くらいの規模の開発を行います。かなりの事業規模になるので、いくつか実績を積み上げていけば、数百億規模の売り上げも狙えるでしょう。

これまで取り組んでこなかった分譲マンションや商業施設も含めて複合的に開発を行います。戸建住宅と同様に“積水化学工業の際立ち”を注ぎ込むことで特徴付け、積水化学でしかできない分譲マンションや商業施設を供給していきたいと考えています。まち全体でも、治水技術などの独自の減災・レジリエンスに寄与する取り組みが、積水化学工業の際立ちとして、かなり差別化になると自信を持っています。

また、複合開発地の管理・運営を行うための新会社「セキスイタウンマネジメント」も今年1月4日に新設しました。「TOWNTO(タウント)」というブランド名でタウンマネジメント事業を展開します。管理・運営まで手掛けることで、ハードだけでなくソフトの面でも積水化学工業の際立ちを注ぎ込み、付加価値を提供していきたいと考えています。

街の各所にIoTやセンシング技術を導入してモニタリングし、何かあればスマートフォンに知らせるといった街の見守り防犯サービスを提供します。また、家事代行サービスなどの住生活サービスの提供も行っていく予定です。

まちづくり事業の初弾は埼玉県朝霞市でのプロジェクトで、今年2月から戸建住宅の販売を開始します。確実に成功させて、その知見を地方にも展開していきたい。2021年、住宅事業が50周年を迎えますが、その時にはまちづくり事業推進部の“推進”の文字を外して、「まちづくり事業部」として、3本目の事業になるようにする。これも今の私の決意です。

神吉利幸プレジデントが肝入りの「まちづくり事業」で、売上高1兆円に向けて加速。画像は第一弾のイメージ

──積水化学工業では、ESGへの取り組みにも力を入れていますよね。

事業は利益を上げるだけではなく社会課題の解決に資する形で推進していかなければいけません。ESGを経営の“ど真ん中に”据えます。日本の直面する少子高齢化、環境、レジリエンスなどの社会問題に対処するうえで、セキスイハイムにはアドバンテージがあると自負しています。

ESGの「E」である環境面では、HEMS、太陽光発電、蓄電池、V2Hのシステム開発により、エネルギーの自給自足に向けて継続的に強化してきました。なかでも、蓄電池については、近年の減災意識の高まりで普及が進んでいます。昨年の今頃の採用率は2割弱でしたが、現在は4割近くと急速に成長しました。また、ZEHは今年度の普及目標を55%としていますが、最終的にはそれ以上に大きく伸長する見込みです。ZEHについても近いうちに、トップを狙えるようにします。

ESGの「S」であるソーシャル面では、高齢者向け住宅・施設事業を推進していきます。グループ会社のセキスイオアシスの介護のノウハウも活かしながら、太陽光発電と蓄電池を搭載して災害時に安心できる減災の高齢者向け住宅・施設を100棟以上販売しており、今後も引き続き推進していく方針です。高齢者向け住宅・施設事業については、利益面よりは社会の信頼を高めていく事業と捉えています。

このほか、まちづくりも社会課題の解決ということではESGに関連した事業の一つ。積水化学グループの際立ちを注ぎ込んだ複合開発のまちづくりをセキスイハイムのユニット工法ならではの量産効果で、全国津々浦々で早急に進めていきます。

最後に、私の仕事観についても、お話させてください。私が仕事を進める上で、特に大切にしていることは“現場との一体感”です。もともと、名古屋の新築営業からスタートし、10年間新築の販売を行っていました。それから、新築の営業所と本社、あるいは販売会社とカンパニーを何回も往復しました。そのなかで一番大事なことは、現場との一体感だと強く感じており、私の大きな方針として打ち出していこうと思っています。  計画は現場で実行されますし、改善も現場で実行されます。常に現場を意識しコミュニケーションを密にとりながら、仕事を進めていく。現場力の磨き上げを今後もしっかりと行っていきたいと考えています。

(注:「吉」は土のしたに口)

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ハウジング・トリビューンVol.631(2021年22号)

特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。

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