10年で売上高倍増、1兆円狙う戸建シェアNo.1獲得へ土地戦略強化 まちづくり事業を3本目の柱に
積水化学工業 常務執行役員 住宅カンパニー プレジデント 神𠮷利幸氏
今年1月1日付で、神吉利幸氏が積水化学工業 住宅カンパニーの新プレジデントに就任した。前職の住宅営業統括部長を継続し、新設した「まちづくり事業推進部」の責任者も兼任する神吉プレジデント新体制のもと、積水化学工業はどのような住宅事業の道筋を思い描いているのか──。新プレジデントがそのビジョンを語った。
──プレジデント就任にあたっての抱負を聞かせてください。
今後10年くらいのあいだに、売上高を1兆円に倍増させることを目標に、カンパニーを大きく成長させていきたいと考えています。そのために掲げるビジョンは大きく2つ。一つ目は、コア事業である新築・リフォームを確実に成長させること。もう一つは、3本目の柱となる事業を新たに創出し、売り上げのトップラインを上げていくことです。
まずは一つ目についてお話します。私はプレジデントになっていくつか決意を持っていますが、その一つが戸建住宅のシェアナンバーワンを狙うことです。次の中期経営計画の間(2020年度以降)には達成したいと考えているのですが、既に手応えは感じています。
今、弊社が戸建住宅事業で最も重視していることは、住宅と土地の一体的な提供戦略です。これまで、ここが弱かったのですが、逆に言うと他社に比べて伸び代があると言えます。今年1月1日、私が責任者を務める住宅営業統括部の中に新たに「分譲推進部」を設置し、土地の仕入れから売り建ての販売までを各エリアと連携して進める体制も構築しました。取り組みをさらにスピードアップすることでシェアナンバーワンを狙えると考えています。
戸建てシェアナンバーワンに向け、営業マンを増やして営業拠点の強化も図ります。特に、従来とは異なるかたちの営業拠点「セキスイハイムミュージアム」の展開を加速します。これはVR・ARを活用した“体感型”のショールームで、広く集客を図る施設ではなく、一度総合展示場に来場した方に来ていただき、弊社の家づくりの考え方や際立ちを納得してもらおうという意図で展開しています。
特にVRはセキスイハイムのユニット工法住宅の特徴を知ってもらううえで、非常に親和性があります。一般的に、住宅業界ではインテリアのイメージをつかむための手法としてVRが使われていますが、「セキスイハイムミュージアム」では弊社の家づくりを体感してもらうために活用しています。鉄骨が切り出され、ジョイントピースで接続し、構造が組み上がっていく工程を迫力あるVRで見ていただくことで、セキスイハイムの考え方や際立ちがより一層伝わり、納得感を持ってもらえます。
若い営業マンでも「セキスイハイムミュージアム」にお客さまをお連れすれば、セキスイハイムの特徴を十分に伝えることができる。結果、折衝回数を3割から4割少なくでき、営業効率は倍以上あがることが数字にあらわれており、働き方改革にもつながっています。
今年度の上期に栃木、近畿、中部の3か所でスタートし、下期中に9か所で展開する予定でしたが、反響は予想以上に大きく、全国12カ所もの販社からエントリーがありました。現場が一緒になって、「セキスイハイムミュージアム」を増やそうとしてくれている。その勢いを感じています。
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