所有者不明土地問題と住まい【前編】

東京財団政策研究所研究員兼政策オフィサー 吉原祥子

  


震災復興や空き家対策で問題が顕在化
今後は老朽化マンションでも

「所有者不明土地問題」が深刻化してきている。東日本大震災の復興に向けた移転用地取得や、空き家対策に取り組む中で、問題が顕在化。今後は老朽化マンションの建て替えにおける合意形成などの点でも問題が大きくなってくる可能性がある。所有者不明土地問題は、私たちの暮らしにどのような影響をもたらすのか、問題の根元は何か、東京財団政策研究所の吉原祥子研究員兼政策オフィサーに聞いた。

1971年神奈川県生まれ。1994年東京外国語大学タイ語科卒。タイ国立シーナカリンウィロート大学へ国費留学。米レズリー大学大学院修了。1998年より東京財団政策研究所勤務。著書に、『人口減少時代の土地問題――「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ』(中公新書、2017年)など。

――まず、そもそも所有者不明土地問題とは、どういったものか教えてください。

所有者不明土地問題とは、所有者の居所や生死がすぐにはわからないことにより、土地の利用や売買などに支障をきたす問題のことを言います。国土交通省の2014年の調査によると、私有地の約2割で所有者の所在の把握が難しいとされています。これは面積で言えば、九州を上回る規模です。

これまでも、農地や林地では所有者不明の土地が集約施業などの支障になることが問題となっていましたが、近年、都市部でも問題が表面化してきました。きっかけのひとつは、2011年の東日本大震災です。被災者の高台移転のための用地取得において、所有者不明であるケースが多くありました。結果として、所有者の特定に膨大な時間と労力を費やし、復興が遅れる要因の1つになりました。

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