2018.10.24

五輪で住宅街と産業を革新する

メイク・住宅産業・グレイト・アゲイン【最終回】

「何のために東京五輪を開くのかという問いに対し、一般の人の心に届く発信が今もって無い」(朝日新聞9月8日)という問題提起は、同紙に限らない。一方で、2012年開催のロンドン五輪や24年のパリ五輪の関係者に聞くと「五輪は良い住宅街をつくるために行う。貧乏な人や若者でも都内で人間らしい暮らしが出来るようにするため」という答えが返ってくることが多い。「良い住宅街をつくれば、新しい産業も誘致しやすくなる」という答えが次に続く。ロンドンやパリに限らず、北京や平壌でも同様の答えを聞いた。何故、東京五輪でそれが出来なかったのだろうか。

パリ五輪で、酷暑を緩和するまちづくり

今年の夏は、世界各地で猛暑だった。今後は「夏の快適性」が、良い住宅や都市の第1の条件になるのではないだろうか。それを実現するには、「市内の自動車排ガスはゼロにする、エアコンの廃熱もゼロを目指す、市内の川で泳げるようにする」。24年に夏季五輪を開くパリ市のセバリーン・ローム(イノベーション部長)はそう答える。さらに「パリだけで温暖化を止めることは出来ないが、ヒートアイランドは緩和できる」と続ける。ヒートアイランドの主因は、ガソリン車の排気ガスと空気熱エアコンからの廃熱で、これらを減らすことは自治体で取組めると解説する。


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