2018.10.2

防災安全ガラスが避難所の機能継続に力を発揮

国交省のガイドライン公表も採用増加を後押し

 

機能ガラス普及推進協議会は「防災安全ガラス」の普及促進に向けた取り組みを強化している。
災害時に避難所となる学校などで機能を継続できるとして、国交省も5月に発表したガイドラインの中に防災安全ガラスの使用を盛り込むなど、採用増加への動きが加速している。

機能ガラス普及推進協議会は、建築物や住宅の安全性・居住性の向上に寄与する機能ガラスの普及推進を目的に平成5年に活動を開始した。板硝子協会会長の島村琢哉氏が会長を務め、生産・流通・販売に関わる7団体によって構成されている。

文部科学省は「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」のなかで、学校に子どもたちの学習・生活の場として快適で十分な安全・防災性を備え、非常災害時には避難場所としての重要な役割を果たすことを求めたうえで、長寿命化対策として壁や窓などの断熱性能の向上や防災機能の強化などを要求。同協議会も平成25年度より一般的には合わせガラスと呼ばれる「防災安全ガラス」の普及活動に注力してきた。

防災安全ガラスとは、2枚の板ガラスの間に合成樹脂の中間膜を挟み、熱と圧力で圧着した合わせガラスのこと。2枚のガラスが強力に接着されているため、耐貫通性に優れており、万一破損しても破片がほとんど飛び散らないため破片による怪我などを防止できるほか、穴も空きにくいので雨風を防げるという特長をもつ。

(一財)日本建築防災協会の「ガラス飛散防止性能検討業務報告書 平成15年3月」によると、ガラスを強制的に破壊して全体の何パーセントが破片として飛散したかを重量比で示す「飛散率」は、通常の板ガラスが約50%〜60%に対して防災安全ガラスは約1%であった。中間膜にガラスが接着しているため、割れても通常の板ガラスと比べて破片が非常に小さく、怪我などの事故防止にも寄与する。

防災安全ガラスのロゴマーク
防災安全ガラスとは2枚の板ガラスの間に合成樹脂の中間膜を挟み、熱と圧力で圧着した合わせガラスのこと。万一破損しても破片がほとんど飛び散らないため破片によるけがなどを防止できる

防災安全ガラスの寄贈や展示会への出展などでPR

普及への取り組みのひとつに防災安全ガラスの寄贈活動がある。災害時における国内の避難所の70%以上は公立小中学校の体育館が占めているが、避難所に使用されるような施設には、安全性を確保するためにこれまで強化ガラスの使用が推奨されてきた。

しかし近年、自然災害による被害が拡大傾向にあるなかで、それ以上の機能をもつガラスとして防災安全ガラスへの要求が高まってきた。

しかし現実には、同協議会のサンプリング調査によると、2015年時点で防災安全ガラスを採用している小中学校は全体のわずか1.7%にすぎない。採用を増やすためにも、まずは防災安全ガラスの認知度向上が重要な課題となっている。

そこで、昨年度より公立小中学校の体育館を中心に防災安全ガラスの寄贈活動をスタートさせている。これまで、奈良県生駒市立真弓小学校の体育館に156枚、岡山県和気郡和気町立本荘小学校の体育館に153枚、宮城県石巻市立蛇田中学校の体育館に140枚の防災安全ガラスを寄贈した。同協議会の浅沼光一氏(板硝子協会調査役)は、「大きな地震や災害が発生した直後は高機能ガラスへの関心が高まるが、時間の経過によって関心が薄くなっていくのを感じる。継続的な寄贈活動を通して普及に努めたい」と話す。

寄贈式では、生徒へガラスの安全性などを教える出張授業として「ガラスのあんぜん・あんしんエコ講座」や「ガラス破壊デモンストレーション」などを実施している。生徒に防災安全ガラス・強化ガラス・網入りガラス・フロートガラスの4種類のガラスを割ってもらい、性能の高さをPRする。寄贈式とセットで行う出張授業は、ガラスに興味を持ってもらうきっかけとして好評だという。

そのほか、地域イベントへの積極的な参加や文部科学省主催の展示会「ぎゅっとぼうさい博!」への出展も行っている。昨年からは(一社)文教施設協会の会員となり、(一社)文教施設協会が全国で主催する耐震改修などに関するセミナーで、年4回程度、防災安全ガラスの特長や性能の高さを解説。文教施設協会が発刊する書籍への掲載を通した宣伝も行っている。

防災安全ガラスの採用へ向けた働きかけとして同協議会の中で地域ごとにチームを作り都道府県庁や教育委員会へパンフレットやサンプルを使った提案も実施。昨年度は43カ所へ提案を行った。

出張授業では「ガラス破壊デモンストレーション」を実施し、防災安全ガラスの性能の高さをPRしている

国交省、防災拠点等の建築物ガイドラインに合わせガラスの使用を盛り込む

こうしたなか、国土交通省は今年の5月に大地震時に避難所となる学校などの施設整備に関して、災害時にも機能を継続できるよう強い構造づくりや設備の充実、ライフライン途絶の対策方法などをまとめた「防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン」を公表した。

そのなかで大地震時のガラスの被害を軽減するための一つとして「破片が飛散しにくいガラス(合わせガラスや飛散防止フィルムを貼ったガラス等)の使用」を盛り込んでいる。ガイドラインの公表が防災安全ガラスの採用を後押しする。同協議会は今後、ガイドラインを使って自治体など行政機関へ提案を行う予定だ。

すでに愛知県名古屋市立東志賀小学校が防災を目的として防災安全ガラスへの改修を行うなど、採用実績も増えつつある。今後は普及活動に加えてこのような採用実績を増やしていくことが必要となりそうだ。

浅沼氏は「ガイドラインの公表で採用への動きが進むかもしれない。地道な提案活動ではあるが、直接訪問することで少しずつでも行政へ働きかけていきたい」と採用増加に向けた普及活動へ意欲を見せている。

機能ガラス普及推進協議会
〒108-0074 東京都港区高輪1丁目3番13号 NBF高輪ビル4F
TEL 03-6450-3926 / FAX 03-6450-3928
http://www.glass-town.com/