2021.9.1

板硝子協会/機能ガラス普及推進協議会 防災安全合わせガラスの普及に注力

防災の鍵となるガラス 飛散せず飛来物にも強い合わせガラスを

地震や台風など、自然災害に対する対策が大きな社会課題となっている。首都直下型地震や南海トラフ地震など大規模な地震の発生が予想される。また、毎年のように大型台風が発生し、甚大な風水害を引き起こしている。特に、近年の台風はこれまでと違う進路を取るケースも多く、これまで台風被害の少なかった地域でも大きな被害が発生している。

こうしたなか、2014年に国土強靭化基本法が成立、2020年には小泉環境大臣と武田内閣府特命大臣が『気候危機時代の「気候変動×防災」戦略』を打ち出すなど、国は相次いで対策を進めている。その一方で、住宅業界においてもさまざまな商品開発や提案が活発化しており、国をあげて自然災害に対する取り組みが加速しつつある。

災害に対する備えは、自助、共助、公助の3つに分けることができる。社会全体で取り組むべき備え、また、地域のコミュニティなどで支えあう仕組みづくりと同時に、いざ自然災害が起きた時には自分自身の安全を自分で守るという意識が重要となる。
この自助の”砦”となるのが住宅だ。

中間膜60ミル以上
衝突性能に優れる合わせガラス

大地震による激しい揺れ、台風による暴風雨や飛来物等に対し、住宅で一番弱いと言われる部分が開口部のガラスである。

一般的なガラスは想定を超える力がかかると破損する場合がある。破片が飛び散りケガなどの二次災害につながる恐れがあり、避難の妨げにもなる。また、台風などの場合は家の中に風雨が吹込み、家財への被害だけでなく、カビや腐食など構造躯体にも損傷を与える可能性もある。部屋に吹き込んだ強風により屋根が飛ばされるという被害さえ起こっている。

こうしたことから板硝子協会と機能ガラス普及推進協議会が普及に力を入れているのが「防災安全合わせガラス」だ。飛来物衝突の安全性、防犯性、人体衝突の安全性を持つ「安全合わせガラス」のなかで、「屋根瓦破片相当」以上の飛来物の衝突に対する安全性を持つガラスで、2kgの2×4材を12.2m/sで衝突させても貫通または孔があかない。また、その後の繰返し圧力載荷試験でも孔があくことはない。

ただ、貫通性能についての基準がなかったことから、(一財)ベターリビングに依頼、優良住宅部品「BL‐bs部品」において新たに「防災安全合わせガラス」の基準を策定した。具体的には、2枚の板ガラスの間に合成樹脂の中間膜60ミル以上を挟み込んだ構造を持つものを「防災安全合わせガラス」と呼称する。

周知活動に注力
インフルエンサーの活用も

2020年10月、協会会員3社が「防災安全合わせガラス」の認定を取得した。以降、板硝子協会と機能ガラス普及推進協議会は、防災という社会的課題に向けて、その普及に取り組んでいる。

2021年度は、その知名度のアップに向け、9月1日の防災の日、10月10日の「窓ガラスの日」にあわせ、9月と10月にラジオでCMを流す。また、新たな取り組みとして、著名な備え・防災アドバイザーでユーチューバーの高荷智也氏に依頼、第三者のインフルエンサーから情報発信を行う。コロナ禍で展示会などの出展が難しいなか「まず知っていただくこと」(吹春高男・機能ガラス普及推進協議会 事務局長)と、PRに力を入れる。

また、全国の小中学校などへの寄贈も引き続き行う。同協議会が2017年度から続けてきているもので、これまで6件の体育館などに寄贈してきた。2019年までは「防災安全ガラス」を寄贈してきたが、2020年からは「防災安全合わせガラス」を寄贈。今年度は、全国の市町村にリーフレットを送付、募集を行っている。

国が定める災害時の一般避難所は全国に約6万7000カ所あるが、その約50%は公立小中高等学校だ。しかし、高い安全性が求められる小中高等学校の「防災安全合わせガラス」の導入はわずか2・6%(安全合わせガラス、合わせガラスを含む)でしかない。同協議会では、寄贈式を行うと同時に学生や地域住民を対象として防災・省エネをテーマとする出張授業を開催し、ガラスの重要性の周知も進めている。

窓ガラスは、防災上非常に重要な部位となる。自然災害が甚大化、頻発化するなか、板硝子協会と機能ガラス普及推進協議会は、「防災安全合わせガラス」の普及活動にいっそう注力する考えだ。

防災安全合わせガラスの寄贈先を募集中

機能ガラス普及推進協議会は、防災安全合わせガラスの普及活動を推進、その一環として学校施設への防災安全合わせガラスの採用を目指す自治体に対し、避難所に指定されている学校などへの「防災安全合わせガラス」を寄贈する。募集締切は2021年9月末日まで。

防災安全合わせガラス寄贈募集

学生などに向けて出張授業も展開