2017.12.1

増加するヒートショックを防げ! 設備機器メーカーで新提案が加速

低温注意喚起、湯はり連動暖房、ミストシャワー、IoT見守りなど

既存住宅の在来浴室でも圧迫感のないデザインで販売伸ばす

パーパスも浴室でのヒートショック対策に向けた取り組みに力を入れている。同社では2015年に既存住宅向けの浴室暖房乾燥機「温守(ぬくもり)」の販売を開始したが、右肩あがりで販売は伸びており、昨年からは約10%増の好調な販売状況で推移している。

大阪ガスを通じた販売も行っているが、大阪ガスの2017年の「ウィズガス商品ヒット賞」を受賞している。同賞は大阪ガスでの販売が好調なガス機器に対し、ガス機器の普及などに貢献した商品として称える賞だ。

「温守」が高い評価を受けている理由のひとつが、コンパクトかつデザイン性に優れている点。システムバスでない在来工法の浴室に暖房を取り付ける場合は壁に後付けするため、暖房機器が浴室に圧迫感を与えるというデメリットがあった。だが、「温守」は横620mm高さ240mm奥行き170mmというコンパクトで、インテリア感覚のスッキリとしたシンプルなデザインとすることで、浴室という狭い空間にも溶け込み、圧迫感を軽減させてくれる。ヒートショックのリスクが高い高齢者が住む住宅の浴室はシステムバスでない在来のものが多いだけに、こうしたデザインのニーズは高いと言えそうだ。

また使いやすさを考慮したリモコンも評価が高い。大きくて見やすい表示部に加え、運転に関わるボタンと調節に関わるボタンとを左右にゾーン分けすることで操作性を向上させ、高齢者でも利用しやすい。暖房能力もガスならではのハイパワー。運転開始時は4.6kWのパワフルな急速モードで、スピーディに浴室を暖める。

パーパスでは、さらなるヒートショック対策の取り組みも検討している。同社の鈴木孝之 経営企画部 営業企画グループ グループリーダーは、「浴室暖房乾燥機の機器自体は差別化しづらくなってきているので、付加価値をいかにつけていけるかが重要」と話す。次のステップとして、給湯器と浴室暖房乾燥機、または給湯器と脱衣室暖房機といった浴室内外の設備を連携させながら自動的に温度調整し、ユーザーへより快適な環境を提供していくことも視野に入れている。さらに、「浴室暖房だけではヒートショック対策は十分でない」(同)とし、様々なメーカーと連携し、新たなサービスを提供していくことも検討している。