住宅市場に光明!? 今、マーケットで何が起きているのか

受注、展示場来場などは増加に転じる

8月に入り住宅メーカーなどの受注が回復しつつある。また、住宅展示場の来場組数も増加に転じており、一見すると住宅市場に光明が差しつつあるようだ。果たして、今、住宅マーケットで何が起きているのだろうか。

2020年8月の主な住宅事業者の受注速報を見ていくと、戸建住宅を中心として対前年同月比で増加に転じる企業が増えてきている。

また、住宅展示場協議会および(一財)住宅生産振興財団の発表によると、8月の住宅展示場への来場組数は、対前年同月比で5.64%増となり、6カ月ぶりに増加に転じた。地域別でも、東海以外の全てのエリアで前年同月の実績を上回っている。

緊急事態宣言によって経済活動が制限されるなかで、リモートでの探客・集客・追客活動を行ってきた結果が身を結びつつあるという声もあり、住宅市場は徐々にコロナ禍を克服しつつあるように思える。

しかし、回復傾向について「限定的」と指摘する関係者も少なくない。

住宅展示場への来場者も回復傾向に

例えば、コロナ禍のなかで自宅で過ごす時間が増え、賃貸住宅に対する不満感が高まり、若年層を中心とした一次取得者層の需要のみが表面化しているのではないかという見方がある。

(独)住宅金融支援機構の住宅ローン利用者の実態調査(2020年5月調査)の結果を見ていくと、回答者のうち20歳代は12.1%、30歳代は58.5%を占めている。2019年3月に実施した同じ調査では、20歳代が13.4%、30歳代が55.7%となっており、それほど若年化が進んでいると言えない。

世帯年数別にみると、400万円以下が6.8%から7.5%に、400万円超~600万円以下が29.2%から30.7%に微増しているが、この数字だけで若年層の需要が増加していると考えるのは早計だろう。

しかし、住宅事業者の受注速報を見ていくと、いわゆるローコスト住宅を得意とする企業の好調さが目立っているのは確かだ。また、ある住宅事業者によると、首都圏の賃貸住宅から北関東圏の割安な戸建住宅を求める人が増えているという。在宅ワークによって、毎日通勤する必要がなくなったことが大きな要因だ。

「今すぐ持家が欲しい」というニーズをどう取り込むか

値ごろ感がある戸建分譲住宅の売れ行きも好調だ。例えば、飯田グループの2020年4~6月の分譲住宅の販売棟数は、同8.7%増の1万749棟となっている。

戸建分譲住宅の好調さについては、在宅時間の増加に伴い「すぐに持家が欲しい」というニーズの増加に伴い、在庫物件が売れ始めていることもひとつの要因になっているようだ。これを受けて、一部の会社では大幅に値段を下げたうえで、在庫物件の販売を強化しようとしている。

中古住宅市場にも明るい光が差しつつある。(公財)東日本不動産流通機構の調べによると、首都圏における中古マンションの成約件数は8月になり状況が一転し、マンション、戸建ともに8月としては調査開始以来、過去最高を更新している。

中古住宅市場についても、「すぐに持家が欲しい」というニーズの高まりが追い風になっている可能性が高い。

住宅ローン減税の影響も

加えて、今後、住宅ローン減税の拡充措置の期限を迎えることも気になるところだ。控除期間が13年間となる特例措置が適用になるためには、注文住宅は2020年9月末まで、分譲住宅と既存住宅は2020年11月末までに契約を行う必要がある。そのため、今後、多少の駆け込み需要とその後の反動減が発生する懸念もあるのだ。

いずれにしても、できるだけ早く持家を取得したいという若年層を中心とした一次取得者が足元で増加していることは間違いないだろう。こうした需要を本格的な回復基調に乗るためのエンジンとすることが求められそうだ。

2020年8月 住宅事業者の受注速報値

社  名対前年同月比
積水ハウス全体100.0%
戸建住宅116.0%
賃貸住宅(RC造除く)80.0%
分譲住宅事業173.0%
マンション事業67.0%
リフォーム事業109.0%
大和ハウス工業戸建住宅88.0%
分譲住宅102.0%
集合住宅112.0%
マンション77.0%
旭化成ホームズ請負住宅100.0%
住友林業合計118.0%
戸建注文住宅126.0%
賃貸住宅97.0%
リフォーム91.0%
ミサワホーム合計109.0%
注文住宅115.0%
建売分譲住宅77.0%
賃貸住宅83.0%
リフォーム129.0%
積水化学工業住宅受注(棟数ベース)92.0%
パナソニックホームズ戸建住宅131.0%
集合住宅67.0%
分譲住宅94.0%
マンション82.0%
三井ホーム注文住宅99.0%
うち専用住宅96.0%
ヒノキヤグループ注文住宅135.0%
タマホーム注文143.0%
建売116.0%
リフォーム126.0%
ヤマダホームズ戸建注文住宅116.4%
日本ハウスHD戸建(分譲土地含まず)111.0%
土屋ホールディングス戸建住宅101.0%
リフォーム89.0%
速報の数値であり、確定値とは異な場合がります。 一部を除き金額ベースでの数字。

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