内装壁材市場に地殻変動 より上質な住空間の実現へ 新素材も登場 Part 1
壁紙が圧倒的シェアを占めている内装壁材市場だが、ここにきて壁紙以外の様々な内装壁材の発売が相次いでいる。消費者の間で高まる、より上質なインテリア、室内空気環境などへのニーズを捉えようというもので、注目度も増してきている。対して壁紙メーカー各社も新商品の開発を進め、さらなるシェア拡大を目指す。新旧の競争が激化するなかで、内装壁材市場に地殻変動が起こりつつある。
日本では、戸建住宅内装の仕上げには、主に壁紙が用いられ、そのうち9割以上を塩化ビニル樹脂系の壁紙が占めている。
こうした壁紙一辺倒であった日本の内装市場に対して、これまで内装壁材を扱ってこなかった建材メーカーも、壁紙以外の様々な内装壁材を開発し、新たな価値提案を活発化させている。消費者のインテリアに対するこだわりを満たす意匠性、室内空気環境の改善に寄与する機能などを訴求しており、注目度も増してきている。
住宅の高付加価値化を図り単価アップを実現するアイテムとして積極的に採用する住宅事業者も増え始めている。
本物志向のニーズを満たす「木」の内装壁材がトレンドに
内装壁材の新興勢力の中でも、大きなトレンドとして挙げられるのは、消費者の本物志向のニーズを満たす「木」の内装壁材だ。
ウッドワンでは、2016年4月から無垢材を基材として用いた壁材「デザインウォール」の販売を開始した。
ニュージーランドで計画的に植林、育林したニュージーパインの無垢材を基材に採用し技巧を凝らした表面加工を施した。「和」をコンセプトに「刻」「菱」「波」「筋」「瓦」「鼓」「竹」「羽」「漣」という9つのデザインをラインナップ。深い彫りを施し、陰影を際立たせたデザインが特徴だ。それぞれ無垢を含む6色のカラーに対応している。間接照明などと組み合わせて用いることで、空間に深い奥行を生む効果を発揮する。
また、長尺(2727mm)を標準サイズとして設定し、天井の高い空間やキッチンカウンターの腰壁などにも使いやすいように配慮した。「継ぎ目がなく、2700mm以上という長さの無垢材を用いた壁材を製品化できるのは当社ならではの強み。自社で木を育て、枝打ちなどの手入れを行うことで、節のない良質な無垢材を確保できる。1本の木から中心を通るようにノコを挽いて取れる柾目と呼ばれる希少部分だけを使う。まっすぐな木目のラインを楽しめるほか、反りにくいという特長も備えている。和室やキッチンのカウンター、玄関空間の正面などにデザインウォールをワンポイントだけ使用するだけでも、空間の顔として引き立ち、印象が大きく変わる。高付加価値化を図るアイテムとして活用してほしい。単価アップにも貢献できる」(同社)としている。
朝日ウッドテックでは、インテリアのアクセントとして2011年から木の壁・天井材「クールジャパン」の提案を強化している。長尺のボーダータイプや、長尺かつ薄型のスリムタイプ、方型のスクエアタイプの3つの形状の板材を用意した。
表面のデザインにも、フラットに仕上げたもののほか、「ソフトウェーブ」「ストレートデコラ」「シンプルリブ」などの凹凸加工を施したものなど、豊富なバリエーションを揃えた。形状や、表面デザインなどを自由に組み合わせてオリジナルの天井・壁材をつくれる。
「年々、販売実績は伸びている。木をインテリアに取り入れたいというニーズのあらわれではないか」(同社)。
また、2017年1月には、同社が展開する高機能複合フロア、ライブナチュラルプレミアムとコーディネートできる内装建材シリーズ「AndMore」のラインアップを拡充し「銘木無垢壁材」の販売を開始した。
節や白太など、自然の中で育ってきた木の個性を活かしつつ、壁材の表面に凸凹加工を施し、天然木の素材感を引き立たせた。
従来のAndMoreの階段、手摺などと組み合わせることで、室内空間全体を同じ銘木素材でコーディネートできる。
「住宅着工が減少する中で、新規市場の開拓が重要になってきている。フローリングが主力の当社にとって、内装壁材市場は有望市場であり、今後、販売を強化していきたい。AndMoreの発売に加え、さらに針葉樹を使用した内装壁材の発売も予定しており、商品ラインアップを拡充していく」(同社)方針だ。
キーテックが展開する「キーラムインテリア」も、LVLの積層面を活かしたユニークな意匠性をもつ内装壁材として意匠設計者などから支持を集めている。
キーラムインテリアには、準不燃材料の大臣認定を取得したキーラムインテリアFRというものもある。木質材料を内装に使用する場合、防火性能などの問題から、建築基準法上の内装制限が係る部分には使用できない。準不燃材料の大臣認定を取得することでほぼ全ての建築物で使用できるようにした。
ストライプ柄の独自性の飛んだ意匠性、製品自体の厚みなどの組み合わせを工夫することで、これまでにないインテリア空間を創出できそうだ。
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