内装壁材市場に地殻変動 より上質な住空間の実現へ 新素材も登場 Part 4
施工性の向上で内装壁材市場を開拓
内装壁材市場でシェアを拡大していく上で忘れてはならないのが施工性の問題だ。実際にメーカー各社は、施工性を重視した商品を売りに内装壁材市場を開拓しようとしている
タカラスタンダードが販売するホーロー内装材「エマウォール〈インテリアタイプ〉」もその一つだ。製品の厚みは1.3mm。石膏ボードなどの下地材の上に専用の両面テープと接着剤を使用し固定するだけで施工は完了する。
AGC旭硝子が開発した住宅内装用カラー硝子「ラコベルプリュム」も施工性に優れている。ガラスの裏面に特殊発泡樹脂を圧着し一体成型することで、ガラスだけの製品に比べて重量を6割削減。さらに、専用の両面テープで下地の石膏ボードに簡単に接着できる施工方法も確立、ガラス施工業者だけでなく、内装施工業者でも簡単に施工できるようにした。オリジナルの目地材・見切り材も用意した。シーリング処理を不要とすることで、工事時間の短縮に寄与する。
四国化成工業では、内装塗り壁材の施工性を高める独自の工法「SK1day工法」を確立し、内装塗り壁材「けいそうモダンコート」などで採用している。通常、目地処理、下塗り、上塗りに2日以上かかっていた作業時間を、速乾性のパテ・下塗材を採用することで半分に短縮することを可能にし、1日施工を実現した。
リフォームで簡単に使える塗り壁材が欲しいという内装施工業者からの要望も増えていたことから、2016年から既存のクロスの上から簡単に施工できるリフォーム対応の「けいそうモダンコート」の発売も開始した。
関西ペイントが開発した漆喰塗料「アレスシックイ」も施工性を売りにした商品だ。ハケやローラー、スプレーなどによる一般的な塗装方法で施工可能。手軽にしかも低コストで漆喰壁が再現できる。さらに、2016年6月には、このアレスシックイに弾性を付与した新塗料「アレスシックイモンティアート」の開発にも成功。アレスシックイと同様に抗ウイルス機能に加え、抗菌、消臭、調湿機能を発揮する。従来のアレスシックイは、モルタルやコンクリート、石膏ボードなどに塗布するといった建築用途に限られていたが、アレスシックイモンティアートには弾性を付与し、紙や繊維、フィルムなどにも塗布できるようにした。様々な箇所での用途拡大が期待できそうだ。
エスケー化研が展開する左官調軽量調湿シート「SKカイテキテイラー」も施工性に定評がある。1平方メートル当たり2.9㌕と、非常に軽いという特長を備え、「塗り材やタイル材は、一般的に重く、コストが高いものが多いのに対して、SKカイテキテイラーでは、塗料を活用することで、こうした点をクリアしている」(同社)。同社では、住宅事業者などに対して責任施工でSKカイテキテイラーを提供している。
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