ネイチャーポジティブが新たな潮流に 国家戦略が閣議決定
Housing Tribune Weekly vol.629
政府は「生物多様性国家戦略2023-2030」を閣議決定した。2030年の「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現を目指し、地球の持続可能性の土台であり人間の安全保障の根幹である生物多様性・自然資本を守り活用するための戦略となる。現在、脱炭素社会の実現に向け、多くの企業が取り組みを加速させている。同様に、中長期的にはネイチャーポジティブも企業の事業活動の前提になると見られている。
21年6月のG7サミット(英国)では、「2030年自然協約」を制定、「2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させる」という世界的な使命を確認した。また、22年12月、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択された。30年までに、これまで減少傾向であった生物多様性の状態を回復軌道に乗せるというネイチャーポジティブを目指す目標が掲げられた。各国には、同枠組みを踏まえ、生物多様性国家戦略を策定・改定することが求められた。こうした世界的な潮流を踏まえて、我が国の生物多様性の保全と持続可能な利用に関する国家戦略を新たに定めた。30年のネイチャーポジティブの実現に向け、新たに5つの基本戦略として「生態系の健全性の回復」、「自然を活用した社会課題の解決」、「ネイチャーポジティブ経済の実現」、「生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動」、「生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携の推進」を掲げた。また、基本戦略ごとに状態目標(あるべき姿)(全15個)と行動目標(なすべき行動)(全25個)を設定している。
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