ハウスメーカーのサステナブル経営

独自の環境対策で競争優位に

地球規模で自然災害が頻発、激甚化する中で、ハウスメーカー各社は、気候変動への取り組みをこれまで以上に強化している。単に企業としての社会的責任を果たすために、横並びで環境対策を行うのではなく、独自の取り組みで環境に対してプラスのインパクトを与えながら、大きな経済的リターンを得ようとする動きも現れ始めている。他社が簡単には真似できない環境対策の取り組み、サステナブル経営を進めることが競争優位を築くうえでも重要になってきている。

温室効果ガス排出量削減へ
本丸は9割を占めるスコープ3

地球温暖化の影響で異常気象に起因する災害などが世界規模で拡大する中、グローバル企業に対して、より高いレベルでの気候変動対策の要請が高まっている。国際的な情報開示・評価のイニシアチブ(Science Based Targets(SBT)、RE100など)の影響力が拡大し、国内企業も対応を求められている。

各イニシアテチブは、温室効果ガス(GHG)の排出量を算定し、報告する際の基準として「GHGプロトコル」を推奨。企業はこの基準に沿って報告することで、信頼性のある情報開示が可能になる。

排出されるGHGが、排出のされ方や排出者などによって、「スコープ1(直接排出量)」、「スコープ2(間接排出量)」、「スコープ3(そのほかの排出量)」の3つの区分に分けられる。また、これら3つの合計を、事業者自らの排出だけでなく、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生するGHGとして「サプライチェーン全体の排出量」と定義する。

ハウスメーカー各社は、環境対策を強化し、GHG排出量削減の計画を前倒しで推進しようとする動きを加速させる。自社事業におけるGHG排出量(スコープ1、スコープ2)のみならず、販売した建築・住宅の使用時を含むサプライチェーン全体のGHG排出量(スコープ3)削減に向け、さまざまな取り組みを展開する。販売した建物・住宅の使用時、また、資材調達におけるGHG排出量が全体の9割超を占めるだけに、スコープ3の削減が脱炭素貢献への鍵を握る。


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