住生活基本計画に「職住一体・近接」の環境整備明記へ

Housing Tribune Weekly vol.518

国土交通省は2021年度から10年間の住宅政策の方向性を示す「住生活基本計画(全国計画)」の案を社会資本整備審議会住宅宅地分科会に示した。パブリックコメントを踏まえ、年度内に計画は閣議決定される見通し。

計画案では8つの目標を設定。コロナ禍を踏まえて、「『新たな日常』やDXの進展などに対応した新しい住まい方の実現」を目標の1つに掲げた。実現に向け、住宅内テレワークスペースや地域内のコワーキングスペース、サテライトオフィスなどを確保し、職住一体・近接、在宅学習の環境整備を推進することを明記。非接触型の環境整備を推進するため、宅配ボックスや自動水栓の設置などを進めることも盛り込んだ。

また、テレワークの普及で郊外移住が注目され中、計画案では空き家などの既存住宅の活用を重視。同時に、意欲ある地方公共団体と緊密な協力関係を構築し、体験的な居住にも資する賃貸住宅の提供や物件情報提供、リフォーム、住宅取得環境の整備を進め、地方、郊外、複数地域での居住を推進するなど、住まいを柔軟に選択できる居住の場の多様化・柔軟化を示した。
自然災害の多発を受け「頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保」も目標の1つに。実現するため、ハザードマップの整備・周知などによる水災害リスク情報の空白地帯の解消や住宅改修、敷地かさ上げなどによる住宅・住宅地の浸水対策を推進。また、住宅の改修による耐風性などの向上といった、近年大きな被害が目立っている水害や風害への対策が明記された。

「脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成」では、長期優良住宅ストックやZEHストックを拡充。LCCM住宅の評価と普及を推進する。また、V2Hの普及を推進。木造住宅の普及や、CLTなどを活用した中高層住宅の木造化で、まちにおける炭素の固定も促進する。

「空き家の状況に応じた適切な管理・除却・利活用の一体的推進」において、周辺の居住環境に悪影響を及ぼす管理不全空き家の除却や特定空き家などに係る対策を強化する。また、「居住者の利便性や豊かさを向上させる住生活産業の発展」では生産年齢人口の減少に伴う省力化施工やデジタル化などの生産性向上も盛り込んだ。「子どもを産み育てやすい住まいの実現」では子育てしやすいよう職住や職育が近接する環境も整備する。他にも、「多様な世代が支えあい高齢者が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり」で、エレベーターの設置をはじめとしたバリアフリー性能やヒートショック対策などを踏まえた良好な温熱環境を備えた住宅の整備、リフォームの促進なども明記した。

住宅ストックのエネルギー消費量を
30年に13年比18%削減

それぞれ目標実現に向けての成果指標の案も同省は公表した。新たに加わった成果指標としては、住宅ストックのエネルギー消費量の削減率だ。18年の時点では13年比3%にとどまっていた削減率を30年に18%へ引き上げる。また、居住支援協議会を設立した市区町村の人口カバー率を20年の25%から、30年には50%へ広げる。市区町村の取り組みにより除却などがなされた管理不全空き家数を20年に20万物件(15年5月から20年3月は9万件)とした。

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