サプライチェーン構築の条件はそろっている
国産材利用をビジネスチャンスに
利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。
国産材は使いづらい?
「国産材は供給が不安定で価格も変動する。『定時』、『定量』、『定価』が確保されていなければ使いづらい」。国産材については長く、このような評価が定着してきた。だから使いづらく、需要も伸びないのだと。つい最近も建築設計に携わっている人がある会合で同じ趣旨のことを言うのを聞いた。
確かに国産材には今もそうした面があることは否めない。だが、以前に比べれば、だいぶ改善されているとも感じる。実際に国産材を標準仕様に採用しているビルダーやハウスメーカーも出てきている。いつまでも「使いづらい」印象を抱いていては、かえって時流から取り残されてしまう恐れさえあるのではないか。
供給事情は大幅に改善
「定時」、「定量」、「定価」とは、伐採業者などの木材生産セクターやメーカーの努力に負うところがあるのは事実だ。量が確保されるためには、山から木材が安定して出荷される必要がある。製材や集成材、合板といった木製品も、メーカーが製造してくれなければ調達できない。
ただ、メーカーの状況を見ると、ここ20年ほどで合板に関しては国産材製品がもはや定番になっているし、製材品についても、多くの乾燥設備を備えた大型工場が各地で稼働し、供給事情は大幅に改善している。スギやヒノキの構造用集成材も多く出回るようになっている。
昔から国産材製材の供給を担ってきた中小工場の多くが、後継者難などの課題を抱えて将来を展望できなくなっているのは気になるし、それらの工場のテコ入れに早急に取り組むべきだと個人的には考えている。ただ、それはそれとして、大型工場の稼働によってスギやヒノキの人工乾燥材が入手しやすくなっているのは事実だ。
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