Cocolive 住宅・不動産営業支援ツール「KASIKA」の挑戦
1200社が導入、システム×ノウハウ×AIで進化
Cocolive(東京都千代田区、山本考伸代表取締役)が提供する住宅・不動産業界向けの自動追客・商談管理ツール「KASIKA(カシカ)」は、2026年5月時点で約1200社の住宅・不動産会社が採用、業界最大級の導入実績を誇る。2026年は「AIレコメンド機能」など様々な先進機能の開発を加速させている。
住宅・不動産業界においてDXの重要性が叫ばれて久しい。しかし、多くの企業が営業支援ツールやMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入するものの「使いこなせない」という課題に直面している。一般的なDXツールは、機能やシステムそのものを提供して終わりのモデルが多く、導入企業側に高度なITスキルや運用ノウハウがなければ、使いこなせないケースが後を絶たない。
Cocoliveが提供する「KASIKA」は、単なる機能提供型のシステムとは一線を画している。日本の住宅・不動産業界の実情に即した「営業支援」に重きを置いているのが最大の特徴だ。
KASIKAが選ばれる理由は、主に3つの強みがパッケージとして一気通貫で提供されている点にある。1つは「住宅業界に特化した機能開発」。住宅・不動産ポータルサイトからの自動情報取り込みや、資料請求があった顧客への自動返信メールなど、住宅・不動産業界の営業フローに最適化した機能がデフォルトで備わっている。
2つ目は「伴走支援によるカスタマーサクセス(CS)」。これまでに約1200社以上の導入実績があり、Web広告やSNS(Instagramなど)から来場予約を獲得するための顧客追客・情報提供の成功モデルが、いくつもパターン化されて蓄積されている。その豊富な成功モデルを元に、同社の専門チームがクライアント企業ごとの特性に合わせてKASIKAを使いこなせるように伴走する。
3つ目は「コンテンツ制作まで行う内製チーム」。顧客へ送るメール・SMS・LINEの文章やイベント特設ページ、ショートメッセージのコンテンツ制作までを専門チームが代行・制作し、納品する。山本社長は「住宅会社の魅力を訴求するメール・SMS・LINEを日本で一番ではないかと思うぐらい書いている。導入企業はスタートラインに立った瞬間から、自社に最適なコンテンツを用いて営業活動を開始することができる」と話す。
旅行業界向けシステムから住宅業界向けへ進化
KASIKAの原点は、意外にも「旅行業界向けシステム」にある。山本社長は、もともと旅行予約サイトなどのシステム開発を中心に手がけていた。旅行業界のサイトでは、どのホテルを見たか、過去にどのような予約をしたかといったユーザーの行動履歴を自動でデータ分析し、個々のユーザーに最適化したおすすめホテルを提案したり、自動追客メールを送ったりする仕組みが発達していた。この「顧客行動のデータ分析と自動追客」というシステムを、同じく人生の大きな意思決定を伴う「住まい探し(住宅・土地・部屋探し)」に応用できるのではないかと考えたのが、KASIKA開発のきっかけである。
しかし、約10年前、開発初期のシステムをそのまま住宅業界へ持ち込んだところ、一筋縄ではいかなかった。旅行はWeb上で完結し、多くの情報を自動で大量に送るアプローチが通用するが、ハウスメーカーや工務店から「このままでは使えない、住宅はスペックを送りつけるだけでなく、良さを引き出してから届けなければならない」という厳しいフィードバックを受け、開発陣は顧客の懐に飛び込み、二人三脚でシステムを作り直した。この「失敗の歴史」を経て、システムというハードウェアだけでなく、どういう内容のメールが顧客に響くのか、工務店にとって何が制作の負担になっているのかを学び、現在の「システム×ノウハウ×コンテンツ制作」という3本柱のモデルへと進化を遂げた。工務店CS室長の吉田純也氏は、「現在、住宅業界では住宅商品だけで差別化することが難しくなっている。どの工務店でもある程度の高性能住宅が建てられるため、スペックだけでの差別化は困難になっている。自社の強みを明確に言語化できる工務店は多くはない。我々は、工務店のパートナー、壁打ち相手になり、第三者目線で強みを整理し伝えることができる。その役割は今後さらに重要になるはず」と話す。
営業の底上げと属人的な価値のさらなる向上
住宅・不動産業界の営業は、個人の営業力やキャラクターに依存する「属人化」が起こりやすい。KASIKAはまず、メール・SMS・LINEの自動化や顧客管理の仕組み化によって、全ての社員が標準的な追客活動を行えるようにし、営業活動全体の「底上げ」を図る。しかし、KASIKAの本質は属人化を完全に排除することではない。むしろ、住宅購入において極めて重要となる「個人の魅力」や「属人的な価値」を、デジタル技術を用いてさらに高めるアプローチを行っている。
前述したように、住宅商品だけで差別化を図ることは難しくなっている。そこで重要になるのが「この会社、この担当者と一緒に家を建てたい」と思わせるプロセスの魅力だ。KASIKAでは、これまで「空気や口頭」でしか伝わらなかった営業担当者や設計士の人間性、これまでの経歴、家づくりへのこだわりや、趣味、ライフスタイルなどを「スタッフ紹介コンテンツ」として可視化するサービスも強化している。工務店エンタープライズCS室マネージャーの五月女亮太氏は、「美容院のスタイリストを選ぶように、顧客が会う前から担当者の人柄を深く知り、親近感を持った状態で来場予約や面談に臨める仕組みを構築した。これにより、実際に顧客と対面した際の距離感が縮まり、商談のスムーズな進行や成約率の向上といった成果が出始めている」と話す。
同社は現在もKASIKAを「完成形」とは捉えず、進化を続けている。直近では、AI技術を積極的に取り入れた新機能の実装を進めており、2026年に入ってからも次々とリリースを行っている。これまでコンテンツ制作チームが手作業で行っていた部分や、営業担当者が顧客データを分析して追客していたプロセスにAIを融合させている。「これまで人的リソースの制約から、ある程度のテンプレートに頼らざるを得なかった個別のカスタマイズメールやスタッフ紹介文、イベント特設ページなどの制作においてAIを活用することで、より多量で、より個々の顧客にフィットした高品質な文章やコンテンツを圧倒的なスピードで生成できるようになり、制作効率と質の双方が飛躍的に向上している」(山本社長)。
2026年3月には、Web上の行動履歴から「成約可能性の高そうな顧客(熱度の高い顧客)」をAIが自動で抽出する「AIレコメンド機能」を実装した。さらに、その顧客が過去に見た施工事例や好みをAIが分析し、その顧客専用に最適化されたイベント来場促進メールなどの文面を、AIが一から自動生成(レコメンド)する。営業担当者は、AIが作成した文面を確認し、送信の可否を最終判断するだけで、極めて精度の高い個別追客が可能となる。
KASIKAの月額料金は約6万円(10人まで)。AI搭載の最新システムに加え、専門チームによるメールやランディングページのコンテンツ制作、定期的な伴走サポート(カスタマーサクセスによる定例会や講習など)までをすべて基本料金内に含んでいる。今後は蓄積された優良な顧客データを活かし、リフォームや中古住宅流通といった分野への応用、土地探しや間取り提案の自動化など、さらなるロードマップを見据えている。
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