New   2026.6.29

ミサワホーム、25年度は増収増益で過去最高益を更新

30年に向け国内住宅事業の収益力向上へ

 

ミサワホームが経営説明会を開き、2025年度の決算報告とともに今後の成長戦略を示した。28年度から始まる新・中期経営計画を見据え、今年度からの2年間を「足場固めの期間」とし、国内住宅事業の基盤強化と資本の強化に努める。

同社の25年度決算は売上高4826億円、営業利益187億円の3期連続となる増収増益で着地した。海外事業の減益分を国内事業がカバーし、過去最高益を更新した。作尾徹也社長は「国内が厳しい時期には海外がカバーし、海外が減速した今年度は国内が補う。ポートフォリオの多層化を進めてきた成果が如実に現れた」と総括した。

同社は新築、ストック、まちづくり、海外、ウエルネスの5つの事業を柱とする。セグメント別にみると、新築事業は売上高2605億円、営業利益は前年の42億円から大きく伸ばし67億円となった。販売戸数では戸建3642戸、賃貸3398戸、全体では7040戸。戸建1棟あたりの平均販売単価は前年度から138万円上昇し3905万円に上昇した。賃貸住宅や非住宅といった高付加価値商品の構成比が高まったことで利益率が大幅に改善。さらに、地方部を中心とした規格住宅の推進、工場の生産平準化なども粗利益率の底上げに寄与した。

ミサワホームの25年度連結損益実績

ストック事業は売上高1075億円、営業利益56億円となり増収増益。中でもリフォーム事業は入居者への捕捉率向上や、空間提案型リフォームへのシフトが成果を結び、売上高700億円を突破した。まちづくり事業においては、過去に仕込んだ開発型ホテルや商業施設などの売却益が大きく貢献したほか、分譲マンション販売も堅調に推移し、売上高187億円、営業利益26億円を確保した。海外事業は、豪州の分譲・マンション事業は順調だったものの、米国市場における急激な住宅不況の影響を受け、売上高899億円、営業利益は38億円となり前年比22億の減益となった。ウエルネス事業では、介護事業を主軸とした安定経営を徹底し、売上高59億円だった。

人材強化へ積極的なキャリア採用実施

説明会で今後の戦略について語る作尾社長

同社は次期の業績計画において、売上高5249億円、営業利益198億円と挑戦的な目標を掲げる。一方で、経常利益を25年度から微減の170億円と抑えている点について、作尾社長は「28年度以降の成長期に向け、国内住宅事業や海外での先行投資実行するための戦略的据え置きである」と説明する。

この「足場固め」の核心にあるのが、持続的な企業価値創造を目指す「資本経営の推進」である。財務資本に加え、5つの非財務資本(人的資本、社会関係資本、知的資本、製造資本、自然資本)を再定義し、特に「人的資本」と「社会関係資本」の強化に注力する。

人的資本の面では、企業活動の原動力である人材の強化に向け、従来の新卒中心の採用に加え、キャリア採用も積極活用する。ディーラーを含むグループ全体で、年間350人程度の雇用枠を設定。単に採用するだけでなく、職種転換や事業間異動時におけるリスキリング体制を社内で整備する。さらに、テレワーク環境の整備、土日稼働が多い現場社員に向けた「定休日振り替え制度」の導入など、エンゲージメント向上も徹底する。

MBP活動強化による事業機会の拡大

社会関係資本の強化として、同社独自のMBP(メンバーシップ・ビジネス・パートナー)活動にもさらに力を入れる。同社は、長年にわたり地域密着の不動産情報網として機能してきた「MRD活動」を、より広範なステークホルダーとの強固な共創関係を目指す「MBP活動」へと深化。地元不動産業者だけでなく、地銀・金融機関、税理士、地元デベロッパー、行政などとの多角的なネットワーク構築に努めている。すでに全国24拠点でフォーラムを開催し、約3700社が参加する巨大なプラットフォームへと成長させている。

25年度の新築請負の成約件数は厳しい市場環境の影響で微減となったものの、総売上高に占めるMBP経由の比率は35%に達する。特に、このネットワークを通じて各地でクリニックや大型社宅、商業施設などの非住宅分野の受注に結びついている。このMBPによる機会拡大をさらに広げ、地方の基盤強化を目指す。

また、国内住宅事業においては、ストック事業を最大の成長エンジンと位置付ける。26年から始動した不動産仲介・買取再販事業の新総合ブランド「ミサワリレイ」を育て、全国に40〜50万組存在する既存住宅オーナーの転居、相続、売却ニーズに対する捕捉・サポート体制を構築する。

全国に約200箇所展開する住宅展示場(モデルハウス)の役割も抜本的に見直す方針だ。展示場への来場者が減少する中、既存の展示場を「新築・リフォーム・不動産仲介」をワンストップで相談できるハイブリッド型の拠点へとリノベーションする。先行事例である「立川展示場」では、新築検討層だけでなく、リフォーム希望者、不動産売買の相談層を一体で囲い込むことに成功。今後、東京・目黒などで展開する空間提案型ショールームと併せ、展示場の統廃合とワンストップ化を全国で加速させる。

工法オープン化で木造化需要などに期待

また、作尾社長は、創業以来独自工法として磨き上げてきた「木質接着パネル工法」がこの春オープン化されたことにも言及した。かつては競合関係や特許の兼ね合いもあり、同社の独占的な型式認定技術として守られてきたが、国土交通省の新告示制定とプレハブ建築協会による「構造設計指針」の公開を受け、設計ルールが広く社会に開示されることとなった。これまでは自社認定(型式適合認定等)をベースとしていたが、新告示の制定、構造設計指針の公開により、一般の設計事務所や地元の工務店でも、簡易な仕様規定による設計や構造計算によって多様な建物の設計が可能になる。そのため、戸建住宅にとどまらず、様々な用途の建物への活用が期待されている。また、オープン化により、中古住宅市場における流通や適切な評価、他社によるメンテナンスが容易になる。作尾社長は「オープン化することで外から様々な技術が入り、小規模な非住宅建築において様々な方が設計できるようになる。デメリットは見当たらない」と語った。今後は脱炭素に向けた建築物の木造化需要の取り込みなど、運用方針を検討していくという。