New   2026.4.10

脱炭素化へギアチェンジ GX住宅支援など新たな展開

得する住まい2026

 

政府は、これまでの「住宅省エネ2025キャンペーン」を継続・発展させる形で「住宅省エネ2026キャンペーン」を創設した。
このキャンペーンは、国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携し、新築およびリフォームの両面から住宅の脱炭素化を支援する大規模な制度だ。
2025年は、新築住宅の省エネ基準適合が義務化されるなど、業界にとって大きな転換点となった。
2026年は、これらの基準が単なる「推奨」から「前提条件」へと移行し、市場に定着する重要なフェーズとなる。

「みらいエコ住宅2026事業」の概要と新築住宅への支援

2026年度の目玉となるのが、国土交通省と環境省が所管する「みらいエコ住宅2026事業」。補正予算案は2050億円。2025年度の「子育てグリーン住宅支援事業」と同様、この予算額からGX志向型住宅、長期優良住宅とZEH水準基準、リフォームのそれぞれに予算額が振り分けられる。

2025年度の振り返り
GX志向型住宅の爆発的な需要

2026年度事業を理解する上で、2025年度の動向は欠かせない。2025年度に新設された「子育てグリーン住宅支援事業」内の「GX志向型住宅」(断熱等級6、一次エネ削減率35%以上などの高性能住宅)への補助は、160万円/戸という高額な補助金もあり、極めて高い注目を集めた。

当初、予算上限に達するのは2025年9月中と予想されていたが、7月に入って申請が急増。その結果、交付申請受付開始からわずか約3カ月で予算500億円を使い切り、7月22日に早期終了するという想定外の事態となった。この背景には、大手ハウスメーカーが等級6を標準化し始めたことや、駆け込み需要があったと見られている。この好調な滑り出しが、2026年度事業の設計にも大きな影響を与えている。2026年度の新築支援は3つの区分で実施される(図1)。

2025年からの主な変更点
月間300戸までの交付上限

2025年度に160万円だったGX志向型住宅の補助額は、110万円へと引き下げられた。これは、より多くの戸数への支援を可能にするための調整と考えられる。前述したように、前年度の「子育てグリーン住宅支援事業」での予算総額は500億円、補助額は160万円/戸で、単純計算では500億円の予算で建設されるGX志向型住宅は約3万1250戸であった。今年度の「みらいエコ住宅2026事業」では750億円への増加、また、補助額は110万円/戸となり、対象戸数は約6万8000戸程度になると見込まれる。

図1 住宅の新築(注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入・賃貸住宅の新築)

また、地域区分の導入、寒冷地(1〜4地域)での負担を考慮し、地域によって補助額に差が設けられた点は大きな変化だ。

2026年度から月間申請条件も追加された。大手ハウスメーカーによる予算独占を防ぐため、戸建て住宅の場合1事業者あたり月間300戸までの交付申請上限が設けられた。断熱等級7などの要件を満たす場合はさらに300戸の申請が可能で最大600戸となる。

一方、ZEH水準の注文住宅については、すでに市場で標準化が進んでいるとして、2026年9月末で交付申請を前倒し終了することが決定している。

既存住宅のリフォーム支援と「性能向上」の重視

図2-1 住宅のリフォーム工事 図2-2 補助対象工事

リフォーム分野では、「みらいエコ住宅2026事業」において、従来の設備導入型から「性能向上型」へのシフトが鮮明になっている。2026年度のリフォーム補助は、リフォーム前後の省エネ性能をどれだけ引き上げるかによって上限額が決まる。住宅のストック(既存住宅)の性能を底上げすることが強く意識されており、リフォーム前後でどの程度の性能に達するかという「結果」を重視した制度設計になっている(図2-1、図2-2)。

窓・給湯器に特化した連携事業も継続

既存住宅の省エネリフォームについては、昨年度に引き続き、窓・給湯器に特化した連携事業も行う。3省連携の強みとして、特定の工事に特化した補助制度との併用が可能だ(図3)。

「先進的窓リノベ2026事業」では、高断熱窓への改修を支援。補助上限は、240㎡以下の戸建て住宅が100万円/戸。2025年度の200万円から半減したが、依然として強力な支援策だ。240㎡以上の非住宅については最大1000万円となっている。

また、リフォーム対象工事については、より実態に合わせた細分化が行われ「特大サイズ」が新設された。面積4.0㎡以上の外窓交換などが対象となり、1箇所あたりの補助額がアップした。

「給湯省エネ2026事業」では、高効率給湯器(ヒートポンプ旧容器、ハイブリッド給湯器、家庭用燃料電池)の導入を支援。補助額はヒートポンプ給湯器(エコキュート)で最大10万円、ハイブリッド給湯器で最大12万円、家庭用燃料電池(エネファーム)で17万円となっている。

「賃貸集合給湯省エネ2026事業」では、既存の賃貸集合住宅における従来型給湯器からエコジョーズ等への取替を支援する。補助額は前年度と同等(5〜10万円/台)。

また、すべての事業において、ディマンド・リスポンス(DR)に対応した家庭用蓄電システムを導入する場合、3/10の補助率で追加支援を受けることができる。

担い手確保への取り組み推進の表明義務が追加

図3 住宅省エネ2026キャンペーンにおける3省連携(リフォーム)

「住宅省エネ2026キャンペーン」では前年度と同様、単に高性能な住宅を建てるだけでなく、建築事業者に対して「GXへの協力表明」が求められる。GX志向型住宅を申請する建築事業者は、断熱等級7の導入検討や「GX率先実行宣言」など、脱炭素化に向けた取り組みを表明する必要がある。

また、2026年度から新たに「担い手確保に向けた取組推進の表明」も求められる。大工技能者の減少や高齢化という課題に対し、「新築」の全タイプにおいて、建築事業者による担い手確保の取り組み表明が必須となった。これは、住宅の高性能化だけでなく、それを支える施工現場の持続可能性を国が重視し始めたことの表れといえる。

対象工事は、2025年11月28日(補正予算案の閣議決定日)以降に着手した工事。2026年3月上旬から事業者登録の受付を開始する予定。2025年度の登録事業者は、簡易な手続きで継続登録が可能となる見込み。交付申請は、2026年3月下旬から開始され、予算上限に達し次第終了する。

26年は「GX ZEH」に向けた助走期間
断熱等級6・7で差別化の動きが加速

2026年は、2027年4月から導入予定の新たな基準「GX ZEH」(断熱等級6、一次エネ削減率35%以上、蓄電池必須など)に向けた助走期間でもある。ZEH水準が当たり前となりつつある中で、ハウスメーカー各社はすでに断熱等級6や7を標準化して差別化を図る動きを強めている。

「住宅省エネ2026キャンペーン」は、単なる補助金の提供にとどまらず、日本の住宅性能を世界水準へ引き上げ、脱炭素社会を実現するための強力なエンジンとなる。事業者は制度の運用変更や提出書類の詳細を正しく理解し、顧客に対して適切な提案を行うことが求められている。特にGX志向型住宅は2025年度に早期終了した実績があるため、早めの検討と準備が不可欠だ。

省エネキャンペーンとは別枠で高度なZEHの普及への支援も継続

「住宅省エネ2026キャンペーン」とは別枠で、より高度なZEHの普及を目的とした補助事業も継続して行われる。


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