川場村役場・kawaba BASEに見る百年先を見据えた庁舎建築
森林整備と地域経済の循環へ、地元の木材を使用
群馬県利根郡川場村では、村の未来を見据えた新しい役場庁舎「kawaba BASE」が整備された。村の景観に配慮されたデザインで、村の86%を占める森林資源を生かした木材利用の建築、木質バイオマスの利用、再生可能エネルギーの活用、雨水の利用(トイレの洗浄水)や地域資源の循環を軸にした、次世代型の公共建築として注目されている。
川場村は東京駅から新幹線で上毛高原まで約1時間。そこから車で約30分。標高400mから600mの中山間地域。村役場は標高527・5mにある。人口2904人。村は40年以上も前から農業・観光を、さらに近年は環境を連動させて地域経済に繋ぐ政策をとっており道の駅「川場田園プラザ」を中心に290万人が訪れる。食と体験と自然を楽しめる場として注目されている。
新庁舎は大きなガラス面を多用し自然光が建物全体に行き渡る設計となっている。木の温もりと相まって、内部は明るく開放的な空間だ。職員にとって働きやすいだけでなく、来庁者にとっても「入りやすい役場」になったという声が多く聞かれる。
役場庁舎を中心に、学習施設、交流施設、備蓄倉庫などが一体的に配置され、村の暮らしと防災、学びを支える拠点として機能している。
場所は旧庁舎から約400mの距離にある。この場所を選んだ理由は、村の中心地域を再編し、「行政+交流+教育」を一体化でき、また、災害時の一次避難・司令拠点としての安全性が確保できるため。さらに、複数施設をブリッジで結び、屋内移動を可能にする十分な敷地があり、既存公共施設との連携が生まれ、拠点機能を強化できるからでもあった。つまり、村の中心機能を集約でき、地盤の安定性があり、災害リスクが少なく、学習館や交流施設など既存公共施設との連続性が確保できる場所というわけだ。複数の施設を一体の名称として、役場庁舎は「kawaba BASE」と命名された。
外観デザインは、昔の農家住宅をイメージし、村の景観になじむ低層・分棟型を採用。一般的な「ビル型庁舎」ではなく母屋と付属屋が並ぶような構成で川場村らしい風景を守っている。外壁材も将来的なメンテナンスや地域の雇用を意識した仕様となっている。
庁舎建設は基本構想が2017年、完成は2023年11月。計画段階では、議員や各地区の区長、委員会関係者などが参加し、庁舎のあり方について継続的な議論が行われた。基本設計がまとまった段階で、村民向けの説明会も開催され、施設の使い方や学習スペースの充実など、住民の声が設計に反映されている。
建物の大きな特徴は、地元産の木材をふんだんに使用している点だ。川場村および周辺地域の森林から切り出された木材を使い、庁舎の柱や床、壁などに活用している。木材の調達から乾燥、加工に至るまで、森林組合や製材所、設計者が綿密に連携し、通常よりも時間をかけて丁寧に進められた。
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