「東京に、家を持とう」を支える超効率戦略 なぜオープンハウスグループのコンパクト戸建は20代に刺さるのか
オープンハウスグループが首都圏で展開するコンパクト戸建住宅事業が好調だ。
都市部での新築マンションの価格上昇を受け、より手ごろな戸建住宅の需要が増加。
職住近接を求め、かつ資産形成を意識する20、30代などに支持され戸建住宅事業の26年9月期決算も増収増益となる計画だ。
新築戸建市場が縮小する中で、なぜこれほどコンパクト住宅が売れるのか。
現場の声を聞き、好調の理由を探った。
渋谷から東急田園都市線に乗り約25分。宮前平駅を降り、さらに徒歩約10分。坂を上り下りした先に、2025年末竣工したばかりのオープンハウスグループの新築建売住宅が3軒並ぶ。Googleマップのストリートビューをみると、コンクリート塀に囲まれた昭和風情の古家と小さな庭という以前の状態が画像で残されている。その場所を取得した同社が、手前中央の1軒、旗竿地の2軒、計3軒のコンパクト住宅を開発した。
そのうち中央の物件は、敷地面積46㎡、延床面積91㎡(車庫11㎡含む)の3階建て木造で、間取りは2LDK+S(納戸)。1階はカースペースと、浴室・洗面所、2階はキッチン、リビングのみ、3階は2つの寝室とサービスルームという間取りになっている。キッチンや浴室など水回りは最新設備と十分なスペースを確保し、その他の部屋は白壁にフローリングというごくシンプルなつくりで、寝室にはそれぞれ小さな収納を備えている。外観は目を引くボックスデザインで、落ち着いたグレージュをベースにまとめている。価格は3棟とも約6300万円。同じエリアで販売されている新築マンションが70~80㎡で約8000~9000万円の価格であるのに対し、割安に感じられる。そうした手頃感が奏功したのか、3軒中2軒は昨年夏の販売開始後、竣工を待たずに契約済となった。同社広報によれば、特に同時期から、首都圏の建売在庫が手薄の状態が続いているという。
営業本部の赤塚晴大部長は「東京を中心とした首都圏において、最近は月で約1000件の契約がある。土地、住宅価格を含めた物価が上昇し、金利の先行きも見えない中、お客様自身が動いているというのを実感している。『駆け込み』といってもいい状態」と話す。こうした東京23区および首都圏におけるコンパクト住宅の好調により、オープンハウスの25年9月期の戸建関連事業の売上高は前期比2.7%増の6763億円、営業利益は36.9%増の695億円となり、全体の売上高は同3%増の1兆3364億円、営業利益は同22.5%増の1459億円と過去最高を更新した。戸建事業の建築棟数は1万2204棟で、内訳は建売が8160棟、注文が4844棟となっている。土地を仕入れた後、担当者が土地のみで売るか建物とセットの建売で売るかを状況に合わせて検討し、それぞれ販売している。戸建住宅の販売増は今年度も続いており、26年9月期も増収増益を見込む。

非現実なマンション
現実的な戸建

国内の新設住宅着工数が縮小し、特に戸建住宅市場が厳しい状況にある中で、なぜ同社のコンパクト戸建住宅は売上を伸ばしているのか。背景の1つには、都心部の新築マンション価格の高騰がある。不動産経済研究所が発表した2025年の東京23区の新築分譲マンション平均価格は、前年比21.8%増の1億3613万円と急騰し、3年連続の1億円超えとなった。資材、人件費ともに上昇しており、販売価格は高止まりしている状態だ。都心部の高級物件の価格が全体を押し上げ、首都圏全体でも前年比17.4%増の9182万円と上がり、エリア別では、東京都下6699万円(同13.7%増)、神奈川県7165万円(同11.4%増)、埼玉県6420万円(同15.8%増)、千葉県5842万円(同2.7%増)といずれも上昇している。

オープンハウスグループは過去に「東京に、家を持とう」というスローガンを掲げ、都心で働く人々にとって便利な場所に手ごろな価格で戸建住宅を供給する事業を広げてきた。マンションが実需層にとって手の届かない水準になりつつある中で、マンション同様の便利な立地でかつ価格を抑えたコンパクト戸建があらためて人気を得ている形だ。赤塚部長は「マンションだと相当背伸びをしないと購入できない。戸建も土地価格が上がっているものの、マンションほどの上昇ではない。都心への通勤圏内に住みたい様々な世帯にとって、小さな戸建というのが現実的なマイホームの答えになっているのだと思う」と語る。
また、資産形成を意識した20代の購入も好調を後押ししている。これまで主なターゲットだった30代の子育て世帯や共働き世帯に加え、20代の購入者割合が徐々に増え、近々の同社データによる購入者割合では、20代が20%超となっている。「家賃が無駄、それなら住宅ローンを借りるという20代の資産形成の意識をここ1、2年とみに感じる。ずっと住み続けるという感覚ではなく、将来の自分の状況次第で売ることも考えている方も多い」(赤塚部長)。また、単身購入者も増えており、データでは12%にものぼる。供給するコンパクト住宅の大半が3、4LDKだが、たまに2LDKといったかなりコンパクトな戸建を販売すると、すぐに売れるという。
足で稼いで土地仕入れ
目標は年8000棟分
同社の戸建の強みの1つが、駅近の好立地であることだ。そうした好立地の土地をどう仕入れているのか。
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