資産価値を毀損させないまちづくり 「土を残し、緑を植える」をビジネスに
増木工務店 代表取締役 齋藤洋高 氏
住宅ストックが充実し「どう使うか」を考える時代に工務店経営にも変革が求められている。
埼玉県新座市に拠点を置く増木工務店は、「土を残して、緑を植える」「価値ある建物を後世に繋ぐ」をコンセプトに、単に住宅を建てるだけでなく、地域環境や将来の資産価値、住まい手の生活の質を総合的に考えた事業展開を行っている。
── 「土を残して、緑を植える」「価値ある建物を後世に繋ぐ」という2つのコンセプトにはどういった思いが込められているのでしょうか。

2つのコンセプトは、増木工務店設立の2022年のタイミングで新たに掲げたものです。当社が所属する増木グループの誕生は約150年前にまでさかのぼります。増木グループは、1946年に増田材木店として材木の販売を開始、1949年に増田木材有限会社を設立しました。その後、増木工業へと名称を変え、建設業・不動産業を幅広く展開する企業へと事業を拡大していきました。創業家は「増田」という名字で「田」には財産やお金を増やすという意味がありますが、さらに事業を発展させていく上で、自然や環境を含めてこの地域に貢献していくという思いを込め、また、増田木材の頃「増」と「木」をとって“マスモク”と呼ばれていたこともあり、「木」に変えたという経緯があります。
創業150周年を機に、創業一家の六代目が所有と経営を分離し、「建設部門」、「住宅部門」、「リフォーム・賃貸管理部門」の主要3部門を事業会社化させる形で組織再編を行いました。現在は、増木工業を存続会社としてホールディングスを立ち上げて、その傘下に特殊建築を担う「増木工業」、木造施設・住宅・設計・相続不動産を担う「増木工務店」、リフォーム・賃貸管理・不動産を担う「増木」の3社がグループ企業として参画しています。
創業一家が同族承継をしないと決め、会社の歴史と人をしっかり残すことを目的に事業承継をしたことは大きな分岐点でした。ホールディングス体制に移行し、各事業部が独立採算で運営する完全子会社となったことで、それぞれ独自性を活かし取り組みに特化できるようになっています。建設不況と言われ、厳しい市場環境の中でも分社化以降、増木グループは増収増益を続けています。
増木グループとして150年以上にわたり地域に根差して事業を行ってきたこと、また、創業4年目のベンチャー企業としてフットワーク軽く新しいことにチャレンジできることの両方が、増木工務店の強みだと考えています。
新座は、東京に隣接していながら、雑木林が残り、4割が市街化調整区域という自然環境豊かな地域でもあります。増木工務店を立ち上げるにあたり、何がこの地域、そして未来にとっていいことなのか、また、ビジネスとして何が差別化になるのかを見据え、新たに考えたのが「土を残して、緑を植える」「価値ある建物を後世に繋ぐ」という2つのコンセプトです。新築であってもリノベーションであっても、この2つのコンセプトを大事にして取り組み、スクラップアンドビルドではないまちづくりを目指しています。長期にわたりストックの価値を最大化していくためには、維持管理をしっかり行い、顧客に対してそのメリットを説明し伝えていく必要があります。分譲住宅地を開発する場合には規約をつくる必要もあります。
また、増木工務店の立ち上げの約20年以上前から、創業家が相続で苦労した経験などから、相続や信託の学びを始め、セミナーなども開催してきた実績があります。現在はその知識やノウハウを活かし、顧客の財産管理や相続対策にも携わっています。相続・信託業務を開始した当初はなかなか収益化することが難しかったのですが、空き家の管理、利活用なども含めて、10年、20年と継続して取り組んでいると、お世話になったと言ってくれる人たちが出てきて、その信頼が厚くなり、今につながっています。実際に、地主さんや農家さんなどから信頼という形でご用命をいただき、財産を預けますというスタンスで仕事をいただくケースもあります。親族の方が不動産を売却しなければいけなくなった時に相談させてほしいとご要望を受けることもあります。増木工務店として一つの軸ができつつあると感じています。地域で住まいだけでなく、土と緑を残し、環境まで含めて携わり、考えてくれる会社ないかなといったときに、私たちの名前が挙がるようになれば嬉しいです。
顧客の信頼を得て進めているプロジェクトの代表例が、所沢市緑町の「築10年 自然と共に生きる暮らし トコみど」です。10年前に建てさせていただいたオーナーさんが、娘さんの結婚を機に一緒に住まわれるため、その地を離れることなったところから話がスタートしました。オーナーは、家の周辺で、無農薬の畑を手掛け大切にしてきた。そうした周辺環境を含めて活用し借り受けしてくれる人はいないか、と当社に相談が寄せられました。

しかし、その環境を整備して住む方を探すことは難しい。であればと、10年経過しても素敵な住まい方ができるということを伝える場所とするために、私たちで借り受けることにしました。借り受けた建物をリノベーションし、社員教育の場や地域に開放するコンセプトハウスとして活用しています。事業再構築補助金を活用して高断熱化し、次世代に引き継げる建物にしました。
地域の人々や同業他社にも開放し、公開しています。また、敷地内の渋柿を使った干し柿作りなど、社員の体験活動にもつながっています。
一体感のある土地活用で
持ち家では得られない新しい価値を提供
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