4階建て以上の中高層建築物に大きな伸びしろ ハード・ソフトの両面から新規参入事業者を支援
新築戸建て市場が縮小するなかで、成長市場として中大規模木造建築への期待が大きくなっている。
2025年は、中大規模木造建築に挑戦する住宅事業者、ゼネコンなどをハード・ソフトの両面から支援し、“共創”で新市場開拓に取り組む動きが相次いだ。
人口減から新設住宅着工戸数が減少することが見込まれる中で、非住宅、中高層住宅や店舗・事務所をはじめ住宅以外の建築物での木材利用の促進を進める動きが活発化している。2025年に木造建築として大きな脚光を浴びたのは、大阪・関西万博のシンボルとして建設された大屋根リングだ。建築家の藤本壮介氏がデザイン。建築面積約6万㎡、リングの幅30m、高さ12m、内径約615mの世界最大の木造建築となる約2万7000㎥の木材が利用された。
令和5年度森林・林業白書によると、令和6(2024)年の着工建築物の木造率22(床面積ベース)は47.2%であり、用途別・階層別にみると、1~3階建ての低層住宅は80%を超えるが、低層非住宅建築物は15%程度、4階建て以上の中高層建築物は1%以下と低い状況にある。
25年に目立ったのは、中大規模木造市場に新規参入しようとする地域の工務店などを支援する動きだ。ハード・ソフトの両⾯から支援し、〝共創〟で新市場開拓に取り組む動きが広がっている。
エヌ・シー・エヌは7月、「大規模木造建築ネットワーク」を設立、非住宅木造建築を得意とする36社のパートナーと始動した。パートナーは、同社が提供する独自の木構造「SE構法」を施工できる登録施工店約620社のうち、大規模木造建築の実績があり、受注体制が整っている36社を厳選。パートナー企業36社のうち、元請ができるのは21社。今後、「大規模木造建築ネットワーク」サービスを利用するクライアントの案件規模、難易度、デザイン性、金額などに応じてパートナー企業との適切なマッチングを行っていく。非住宅木造建築を建てたい自治体、設計事務所、ゼネコンなど各クライアントの要望を受け、それに応じた元請および下請のパートナー企業を紹介するほか、設計から、資材供給、瑕疵保険まで大規模木造に関するサービスを全国で提供する。エヌ・シー・エヌが持つ構造・環境設計、全国12のプレカット工場からの資材供給に加え、新たにパートナー施工体制の強化を図り、建築物木造化の流れを加速する狙いだ。
AQ Groupは9月、同社のオリジナル技術「AQ木のみ構法」で中大規模木造建築を担う外部組織「中大規模木造建築 共創〈ともつく〉ネットワーク」をスタートした。「AQ木のみ構法」は、主に4階建て以上の中大規模木造建築向けで、30倍から40倍の耐力壁を組み合わせることで、耐震性とデザイン性を両立させている。特殊な材料ではなく、一般的に普及しているプレカット材などを組み合わせた構法であり、地域の建設会社でも導入しやすい。

また、ソフト面の支援も両輪で行っていく。まずAQ Groupとして取り組みを開始したのが、「AQ木のみ構法」を生かした次世代純木造マンションシリーズ「AQフォレストシリーズ」の展開だ。土地を購入し、木造マンションを建設して投資家に販売するランドセット事業を中心に行う。こうした木造マンションの販売実績を踏まえ、そのノウハウを「ともつくネット」の会員企業に提供する。フォレストビルダー事業部の堀野雅人部長は「技術だけでは事業は成功せず、土地の選び方や販売戦略などの経営ノウハウが重要になる。会員同士が教え合う場を設けることで、実績が『倍々ゲーム』で増えていく効果を期待している」と話す。
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