大和ハウス工業、マンション事業の計画転換、量的拡大から収益・資金効率重視へ
再開発事業、民泊対応の「モンドミオ」などを強化
マンション事業説明会を開催。地価や建設費の高騰を考慮して、高付加価値物件の供給に絞ることで、量的な拡大から収益・資金効率重視の事業計画へと転換を図る方針を示した。
2023年度のマンション事業の売上高4418億円、営業利益373億円に対して、24年度は、コスモスイニシアが連結子会社から持分法適用関連会社に変更になったことなどにより、売上高2640億円、営業利益170億円を計画する。上席執行役員 マンション事業本部長の富樫紀夫氏は「19年から20年にかけて完成在庫が膨らみ、24年から仕入れをかなり抑制した影響が出ている」と話す。新築マンション市場はコロナ禍で約6万戸に減少し、21年には7万戸台に回復している。しかし、近年、価格上昇が進む中、今後の価格や金利の先高感による購買意欲や、過去のマーケット感からの予算乖離など様々な動向が見受けられる。そのような中で、「高付加価値物件に絞ることで、量的な拡大から収益・資金効率重視の事業計画へと転換する。コスモスイニシア社の数字を、マンション事業本部でカバーしていく」と述べた。第7次中期経営計画の最終年度、26年度に売上高4000億円、営業利益250億円を計画する。
その一環として再開発事業を強化する。3大都市圏、地方圏ともに、再開発事業の主要な用途は、商業系から住居系にシフトしており、今後も都市再開発事業における住居系の重要性は高くなっていくと予測。同社の総合力とネットワークを生かし、「プレミスト」のブランドで各地の再開発案件への取り組みを強化する。住宅、建築、環境、不動産開発など生活全般にわたる事業領域を連携し、不動産価値の高い分譲マンションを開発していく。「新さっぽろ駅」周辺地区大規模複合開発プロジェクトでは、総開発費550億円をかけて、総戸数200戸の「プレミストタワー新さっぽろ」などを含め、総面積5万5700㎡のエリアの複合開発を手掛けた。供給後もまちのにぎわい創出に貢献していくことがプロポーザルの条件であり、スタッフを置きエリアマネジメントに取り組んでいる。北海道エリアでは、過去13案件を手掛け需要はほぼ一巡した状況で、現在は関東エリアの9案件などを含め、全国で合計21案件の再開発事業が進行している。加えて、マンション建て替え事業にも注力する。現在全国で10案件が進行している。さらに、環境配慮、SDGsの取り組みにも注力する。23年度にプレミストシリーズZEH-M化100%を達成した。25年4月竣工予定の「プレミスト宮崎台 RISETERRACE」(神奈川県川崎市)では、同社分譲マンション初のZEH-M Readyと認定低炭素住宅を同時取得した。「今後、これをスタンダードにしていきたい」考えだ。
そのほか、観光地などで実需やセカンドハウス、宿泊利用など、多用途が見込まれるエリアで、実需と多様な収益活用を併存さえた多用途対応型マンション「MONDOMIO(モンドミオ)」を展開。インバウンドが増加する中で、ホテルの供給不足、宿泊価格の高騰で、新しいニーズが生まれてきている。ファイナンス、ローンも充実してきており、経営者、アッパーサラリーマンなどからの購入ニーズが高まっているという。
今後、新築分譲マンション市場の見通しについては、「資材価格の高騰は落ち着き始めているが、労務費は上がり続けており、マンション価格はますます上がると見ている。金利の先高観もあり、購入意欲にブレーキがかかる厳しい局面にある。金利がさらに上がれば、一定の駆け込み需要が発生する可能性もある」とした。
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