いま一度アフォーダブルを
約30年ほど前、政府が打ち出した「生活大国5カ年計画」のなかで「年収5倍の住宅価格」が謳われた。地価が高騰し、住宅ローンも8%台と現在からは考えられないほど高かった時代だ。住宅を手が届くものとし、住生活をより豊かなものに、という狙いだったと記憶している。
当時とは、社会環境も、消費者の住まいに対する考え方も、そして住宅産業も大きく変わった。ただ、暮らしの根幹をなす住宅が手の届かないものになりつつあるにもかかわらず、異を唱える声が小さく感じるのはなぜだろう。
住宅価格の高騰が続く。国土交通省の不動産価格指数(2010年の平均値を100とした指数)をみると、2013年頃から右肩上がりが続く。2024年3月は「戸建住宅」は115.8、マンションにいたっては197.9である。
2010年当時とは世帯年収も住宅ローン金利も異なるため、単純に比較することは難しい。ただ、マンション価格がバブル期を上回ったと聞くと、やはり違和感は否めない。
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