林業白書 森林経営管理制度や森林環境税が軌道に
国産材、大径木の活用へ製品・技術開発が加速
戦後植樹した森林が伐採期を迎え、また、脱炭素といった観点からも、木材利用促進の機運が高まっている。一方で、原木価格の低迷などから山側に利益が還元されず林業衰退の課題を抱えている。林業の復活が地域活性化の面でも重要な鍵を握る。
これまで私有林では、森林経営計画の作成を通じて、施業の集約化を推進してきたが、所有者不明や境界不明確などにより、民間の取り組みだけでは事業地を確保することが困難になりつつあり、森林整備が進みにくい状況となっている。
こうした中、2019年4月に、森林経営管理法が施行され、市町村が主体となって森林の経営管理を行う森林経営管理制度が導入された。
林業白書によると、21年度末までに、1225市町村において、意向調査の準備を含め、制度を活用した取り組みが実施され、うち975市町村において、約60万haの意向調査が実施された。森林所有者からの委託の申出も約3300haに上っている。林野庁は、26年度までに意向調査を170万ha実施することを目標としている。市町村が受託を受ける際に策定する経営管理権集積計画は、262市町村の9053haで策定され、うち157市町村の2417haで同計画に基づく市町村による森林整備が実施された。また、林業経営者への再委託を行う際に策定する経営管理実施権配分計画は48市町村の1105haで策定され、うち15市町で林業経営者による森林整備が124ha実施された。このうち、9市町では主伐が行われ、6市町では再造林まで行われた。
23年度譲与税活用額は400億円と着実に増加
森林整備の一環として19年度から森林環境税もスタートしている。19年4月に施行された森林経営管理法を踏まえて、新たに市町村が担う森林の公的な管理を始めとする森林整備などの財源として森林環境税、森林環境譲与税が創設された。
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