地域活性化の最先端

ハウジング・トリビューン、観光経済新聞、東京交通新聞、塗料報知、農村ニュースの専門5紙誌は、2023年度の連携企画「地方創生へ『デジタル田園都市国家構想』で未来を拓く」を展開してきた。
行政、有識者などのインタビューとあわせ、それぞれの地域での具体的な取り組みを多面的に紹介してきた。
連載企画の最終回にあたり、住宅、観光、交通、塗料、農業など、それぞれの視点から地域活性化の最新の動向を紹介する。


[ハウジング・トリビューン]地域活性化に空き家を生かす

今、地域が抱える大きな課題の一つが空き家問題だ。総務省が5年に一度まとめている「住宅・土地統計調査」によると、平成30年時点の空家数は849万戸、総戸数に占める空家率は13.6%となっており、間もなく発表される最新データでは1000万戸に達するのではないかと見られている。

2023年12月に「改正空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行となった。この改正では「空家等の管理の確保」を強化、放置することで特定空家となるおそれがある空き家を「管理不全空家」と位置づけ、市区町村長の指導・勧告により、「固定資産税の住宅用地特例」の解除を可能とした。空き家増加の要因の一つとして所有者の「放置」が指摘されるが、そのデメリットにより空き家の利活用を進めることが狙いだ。また、「空家等活用促進区域」を設定し、区域内での空き家の用途変更や建替えを促進する。さまざまな規制により空き家の活用が難しいとの指摘がある。例えば、第一種低層住宅専用地域の空き家を店舗やカフェに用途変更することは難しい。用途規制や接道に係る前面道路の幅員規制などを合理化することで利活用の幅を広げる。

空き家は地域の大きな課題ではあるが、地域活性化の施策としてその活用を進める自治体は多い。

例えば、磐梯町(福島県)では、空き家対策を進め既存住宅の流通戸数を増やそうとしている。空き家活用を目的とする解体、改装、相続登記、家財道具の処理について補助を行っているほか、空き家を借上げた施設「未日常」の2階を移住希望者を対象とする「お試し住宅」とした実証実験も行った。また、前橋市(群馬県)は、空き家のリフォーム、空き家を活用した二世代近居・同居住宅支援、老朽空き家対策事業など補助制度で支援を行っているが、これらは移住・定住促進を目的とする転入者への支援も目的としている。多気町(三重県)も空き家活用を移住・定住促進策として推進。一定の要件を満たすことで移住定住支援金20万円、移住定住促進補助金を併用するなどで最大230万円の補助を受けることができる。

一方で、解体、リノベーション、不動産など、住宅産業界のさまざまな事業者が空き家問題の解決に向けて動き出している。負の資産である空き家を地域の活性化に結び付ける、新たな動きが加速しつつある。

磐梯町は空き家をリノベーション、移住希望者向けの「お試し住宅」の実証実験を行った


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