デジタルの力で地方創生を加速化し社会課題を成長の原動力に変えていく
水嶋智 氏 国土交通審議官
デジタル田園都市国家構想に各省庁をあげた取り組みが進む。住宅・建築、まちづくり、交通、観光など幅広い分野で、デジタルの力を活用した社会課題の解決が期待される。これらを担う国土交通省は、今どのような取り組みを進めつつあるのか―水嶋智 国土交通審議官に聞いた。
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1986年旧運輸省(現国土交通省)に入り、観光庁次長、海事局長、鉄道局長、官房長、鉄道建設・運輸施設整備支援機構副理事長など歴任。昨年6月現職。東京大学法学部卒。京都府出身、60歳。
──地方創生・地域活性化、デジタル田園都市国家構想に関し、国土交通省が最も期待する分野、課題、成功例、今後の取り組みを伺いたい。
デジ田のポイントは二つあり、一つは、デジタルの力を活用した地方創生の加速化、進化だ。もう一つが、東京の一極集中の是正と多極化を図り、地方が抱える社会課題を成長の原動力に切り替えていくこと。構想を受け、7月に国土形成計画が閣議決定されている。シームレスな(継ぎ目のない)拠点連結型国土を目指すことと、デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成に重点が置かれている。国交省が関わる政策分野、施策は非常に広範に渡る。
シームレスな拠点連結型国土の実現には、幹線の高速交通体系が欠かせない。代表例がリニア中央新幹線の整備。また、地域の課題を成長の原動力に変える際、制約要因となるのが働き手不足で、DX化で解決していく必要がある。国交省所管分野では、交通、物流、インフラ、建築、都市、観光があり、まだまだDX化を推進する余地がある。
地域交通の活性化を図るために、地域社会に地域交通の位置付けを変えてもらう必要がある。交通事業者に任せるだけでなく、地域社会が地域交通のあり方に積極的に関わる。今までのコンペティションの『競争』ではなく、コオペレーションの『共創』だ。空き家の問題も大きい。基本的な考え方として、地域の先進事例、成功事例を横展開し、全国に広めることが大事になる。例えば、福井県永平寺町で自動運転『レベル4』(特定条件下での完全自動運転)の運行が始まっている。今は安全上のトラブルで一時的に休止しているが、こうした取り組みを2025年に50カ所、27年には100カ所に広めていきたい。
──ライドシェア解禁問題やタクシーの供給不足について、どのように対応していくか。地域交通のリ・デザイン(再構築)で重視することは何か。
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