(一社)プレハブ建築協会、宮城県で復興の現状を知る見学会を開催
先進的まちづくりの知見を会員間で共有
東日本大震災から12年が経過し、災害時の状況を改めて振り返るとともに、復興の現状を知ることを目的に見学会を4年ぶりに宮城県で開催した。先進的なまちづくりのノウハウを会員間で共有した。
ともに積水ハウスが施工したスマート防災エコタウン(東松島市)、スマートコモンシティ明石台(富谷市)を見学した。
2015年に入居を開始した東松島市スマート防災エコタウンは、復興事業と合わせて「環境未来都市」づくりを進めている東松島市と、全国でスマートタウンを開発している積水ハウスが官民一体で進めたプロジェクトだ。災害公営住宅85戸と集会所、総合病院など4つの病院と公共施設があり、日本初の自営線マイクログリッドにより電力を供給し、環境性・防災性・経済性とバランスがとれたハード・ソフト一体での新たなビジネスモデルとして東松島市が事業を進めている。太陽光発電、大型蓄電池、非常用発電機、CEMSで構成し、平時は太陽光発や蓄電池の組み合わせによりエリア内で自己消費し、夜間などは電力会社及び市場から不足分を調達する。停電などの非常時にも、最低3日間は通常の電力供給が可能。病院などへの電力供給が維持できることで、地域の災害対応力、防災対応力の向上に寄与する。
実際に東松島市スマート防災エコタウンの管理・運営をするのは、地域新電力事業者である(一社)東松島みらいとし機構(HOPE)。積水ハウスはHOPEに対して事業者登録の立ち上げを支援した。HOPEに住民や事業者から電力料金が支払われることで市外への富の流出を防ぐ。新規雇用の創出にもつながっている。地域新電力事業で得た利益は地域の課題解決や住民サービス、地域活性化に再配分されるため、地方創生にも寄与する。HOPEの髙橋巧氏は「初期投資費用を建設から18年で回収する計画であったが、定期的にシステムの稼働状況を調べ、必要に応じて更新を図っているため、計画から若干遅れる見込み。管理・運営する事業体の経営を安定化させることが課題」と話す。
一方、スマートコモンシティ明石台は、積水ハウスが2011年11月に第Ⅰエリアの分譲を開始した総区画数763区画、500世帯を超える人々が暮らす大型分譲地。現在、第Ⅲエリアの販売中だ。各戸に「5本の樹」計画をはじめ、道路計画や緑の見え方、建物・外構など、美しいまちなみづくりのための独自のガイドラインを定めている。まちびきから10年以上が経過し、経年美化していくまちなみを見学した。
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