ケイアイスター不動産、平均1700万円台の中古再生住宅事業を地方・郊外へ
都市部の新築分譲との「二刀流戦略」で全国シェア拡大へ
ケイアイスター不動産(埼玉県本庄市、塙圭二社長)が、中古住宅再生事業を拡大する。
平均1700万円台という低価格を強みに、25年の本格参入から1年で23店舗を展開。
今後、地方・郊外を中心に早期の100店舗体制を目指し、新築分譲住宅事業との「二刀流戦略」を本格化させる。
対象はアフォーダブル住宅購入層
ケイアイスター不動産が、中古戸建て住宅を低価格で買取再販する「中古住宅再生事業」を、全国の地方・郊外へ拡大する。
同社は1990年に創業し、「すべての人に持ち家を」というビジョンのもと、埼玉県本庄市から全国へ新築分譲住宅事業を広げ、2015年の上場以来、右肩上がりの増収を続けてきた。26年3月期の連結売上高は3939億円、年間供給棟数はグループ全体で9489棟(土地含む)に達し、戸建住宅供給数で上位のシェアを誇る。
この戸建分譲事業で培った約1万棟供給のスケールメリットを生かした調達力と独自の職人ネットワークを武器に、25年2月から中古住宅事業に参入した。それから1年強で全国に23店舗を構え、仕入数は500棟を突破。26年4月には関西・中京エリアへの新規進出も果たしている。今後、全国100店舗体制の構築を目指し、都市部中心の分譲住宅と、地方・郊外中心の中古再生住宅との「二刀流戦略」で全国シェア拡大を狙う。
同社の中古住宅再生事業の大きな特徴が、平均1700万円台という圧倒的な低価格にある。国土交通省の令和6年市場動向調査によれば、新築注文住宅の全国平均価格は6188万円、新築分譲住宅でも平均4591万円に達し、一般的な一次取得者や若年層にとって、新築は容易に手の届かないものになりつつある。こうした市場環境に対し、中古戸建住宅の平均価格2917万円をも大きく下回る価格を実現し、年収500万円台以下の「アフォーダブル住宅購入層」への販売を強化する。低価格の中古住宅事業に注力する理由について堀口幸昌上席執行役員は、「今まで家を買えた人が買えない時代が来てしまった。その中で価格を抑えた中古住宅を提供していくことが会社のミッション」と説明する。
新築ではなく中古住宅を買ってリノベーションするという選択も広がっているが、そこには「残酷な世界がある」と堀口氏は指摘する。「壁を壊した後に白アリ被害や柱の老朽化が発覚して追加予算が発生したり、新築を購入するよりもコストが高くなってしまったりするリスクが常につきまとう。街の小さな会社や個人では、中古再生はあまりにも不確定要素が多く、頓挫しやすい」。そうした中古住宅購入リスクのハードルを下げ、「八方塞がりになっているところを、我々が打破していく」ことに参入の意義があるという。
あえてハイスペック目指さず価格重視
平均1700万円台という低価格を実現するために、築年数にこだわらず、性能面も状況に応じて価格の範囲内で改修するにとどめる。他社が中古買取再販において高機能・高性能化を付加価値として競い合う中、同社の戦略は一線を画す。堀口氏は「我々は旧耐震基準の物件、築40年や50年以上の物件も積極的に買い取っている。当然、新基準に準拠する最低限の安全構造や雨漏り・白アリ対策は施すが、必要以上の超ハイスペックは求めていない。お客様が求めているのは、品質より価格だからだ。実際、旧耐震の物件であっても、求めやすい価格であれば非常に良く売れている」と語る。ニーズも第一次取得層だけでなく、セカンドハウスや別荘など幅広いという。
また、低価格を実現できる背景には、新築事業で培ってきた購買力と施工力がある。同社は住宅設備を、メーカーから一括調達で極めて安価に仕入れており、中東情勢の影響後も部材価格の高騰を回避し、安定的な調達体制を維持し続けている。この新築用の設備調達ルートをそのまま中古再生の現場に転用し、さらに改修の施工を外部委託するのではなく、極力自社グループの職人ネットワークで施工することで中間マージンを極限までカット。リフォーム現場も新築事業で実績を積んだ現場監督を置く。
さらに、購入後の保証も充実させるため、将来のローン返済不安に寄り添う独自制度「お住まいレスキュー」を用意する。購入者が勤め先の倒産や解雇などに遭った場合、最大6ヶ月間にわたって月額5万円のローン返済額を同社が負担する。アフターメンテナンスについては、これまで築いてきた新築対応の部門と連携して対応する。
今後、さらなる仕入網の拡大と店舗数の拡大を掲げる。地方・郊外の店舗出店を加速させるために人材確保が課題となるが、堀口氏は「現在店長クラスには経験者・ベテランをそろえているが、急拡大にともない人が足りなくなる局面があれば、新築分譲事業の優秀な人材を中古再生事業にスライドさせる」と話す。豊富な人材を中古再生事業に投入し、新築分譲との「二刀流」体制を早期に構築する考えだ。
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