国土交通白書 場所や時間に制約されない暮らしが実現
地方都市への人口移動が始まる
デジタル化の進展により“未来社会〞が到来しようとしている。住む場所や時間に捉われない、バーチャル空間による付加価値など新たな暮らしへの期待が高まる。
デジタル化が急速に進み、社会、暮らしが大きく変わりつつある。生活者はデジタル化に何を期待し、どのような未来を求めているのだろうか。
国土交通省の「国民意識調査」で、デジタル化により実現され得る2050年の新たな社会像についてどの程度望んでいるかをたずねたところ、「災害リスク管理が高度化し、災害から人命と暮らしが守られる社会」、「一人ひとりのニーズにあったサービスを受けられる社会」、「住む場所や時間の使い方を選択できる社会」について、全世代の5人に4人以上の人が「望んでいる」と回答した。世代別にみると、「バーチャル空間の充実により、物理的な障害に制約されずに活動できる社会」と「仮想空間とともにリアル空間の魅力も高まり、付加価値が向上する社会」という仮想空間活用に関する項目について10代の回答割合が高くなっているのが特徴だ(図1)。
また、デジタル化により実現され得る未来型のライフスタイルについてどの程度望んでいるかについては、AI等の活用による「災害や事故のリスクを最小化できるくらし」、自動運転機能などの技術により日々の事故リスクが減り「次世代モビリティにより迅速に救急搬送される暮らし」の2項目について、全世代の4人に3人以上が望んでおり、「安全・安心」に関する期待が高いことが読み取れる。一方、10代は上記のほかに、AI等により仕事や家事が効率化し「働きやすくより多くの人の社会参加が可能となる暮らし」、テレワークや仮想空間の活用により「住む場所を個人の嗜好に合わせて選べる暮らし」、AI・IoTや自動運転などの活用により「行きたい場所へのアクセスが可能となった暮らし」、デジタルツインの活用による「新たな体験や創造的な活動が楽しめる暮らし」の4項目について4人に3人以上が望んでおり、新しい暮らしへの期待が高い。
こうした結果を踏まえ、「国土交通白書」では、災害リスク管理などの安全・安心、住む場所や時間の使い方を選択できる社会に向けた取り組みを加速させるとともに、「次世代を担う若者からの期待度が高い仮想空間の活用にも取り組み、デジタル技術を最大限に活用したより良い社会の実現を図っていくことが重要」としている。
関東・近畿など大都市から
県庁所在地・町村へ
「住む場所を個人の嗜好に合わせて選べる」ようになった時、暮らし方の多様化はさらに進みそうだ。国土交通省は、そんな社会が実現した時、住みたいと思う都市の規模について「国民意識調査」でたずね、国立社会保障・人口問題研究所の「地域別将来推計人口」をもとに簡易なシミュレーションを行ったところ、県庁所在地や中核市での居住に対する潜在ニーズが浮き彫りになった。
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