2023.7.18

ポラスグループ、売上高が7期連続で過去最高を更新

住宅契約に厳しさもストック事業が軒並み過去最高の業績に

2023年3月期決算は売上が7期連続の過去最高となった。特に不動産売買仲介やリフォームなどストック分野が好調に推移。戸建分譲、注文住宅とも受注を大幅に減らしたが、秋頃には好転すると見て、今期は大幅な増加を計画している。

ポラスグループの22年度の連結業績は、売上高3103億3200万円(前年度比10.8%増)、経常利益319億8400万円(同4.3%減)の増収減益となった。売上高は7期連続で過去最高となり、初の3000億円超えとなった。資材価格高騰などを踏まえ住宅市場が厳しいなかで分譲、注文ともに契約棟数が前年度を下回る一方で、不動産売買仲介やリフォーム、賃貸仲介などが好調に推移した。

23年度は「市場環境の先が非常に読みづらいが、これまで通りエリア価値の向上を基本において事業を推進する。数字的には縮小するが、25年3月期に向けて良い形を作っていきたい」(ポラス・中内晃次郎社長)と、売上高3100億円(同0.1%減)、経常利益270億円(15.6%減)を計画する。

戸建分譲の売上が過去最高に
足元の厳しさも秋頃に回復の見込み

ポラスグループ全体の戸建分譲事業は、売上高1255億5100万円(同6.5%増)、経常利益133億9600万円(同3.8%増)とともに過去最高となった。売上戸数は2792棟(同0.7%増)と過去2番目の数字である。

一方、先行指標となる契約棟数は2431棟(同20.3%減)と大幅減。コロナ禍で旺盛だった需要が一服し、資材や土地仕入れ額の高騰などにより売出物件の数が減るとともに物件価格の上昇が響いた。足下の4~6月もこうした状況が引き続き、契約棟数が前年同期比13.6%減、契約高が同12.3%減と厳しい状況が続いているが、営業力強化、土地仕入れ強化に注力し「秋頃から好転し伸ばしていけるのでは」(中央住宅.品川典久社長)とみている。24年3月期の見込みは売上棟数3430棟(同22.9%増)、契約棟数3520棟(同44.8%増)を計画している。

一方、マンション事業は売上高145億1100万円(同15.6%減)、経常利益7億6800万円(同34.6%減)の減収減益。契約棟数は330棟(同19.5%減)と大幅な減少となった。

注文住宅は、契約棟数635棟(同9.5%減)と前年度から減少したものの3年連続の600棟超えとなった。「体感すまいパーク柏」に5棟目となる新モデルハウスをオープンさせるなど、単独展示場での体験型のイベントなどを積極的に開催、これらが奏功し、総合展示場モデルハウスへの来場者が回復しないなか、体感住まいパークの来場者数を伸ばした。

4~6月の受注は前年同期比で約2割減と、集客は悪くはないものの契約の前年割れが引き続く。

今後、9月に東部東上線エリア初となる体感住まいパークを朝霞にオープン予定で、同エリアでの営業を強化する計画。「今後2~3カ月は厳しさが続くが、秋頃には回復する」(ポラス・中内社長)と見て、24年3月期の契約棟数見込みは890棟(40.2%増)と大幅増を計画する。

好調なストックビジネス
仲介、再生、リフォームが過去最高

事業が好調に推移したのが不動産売買仲介.中古再生。売上高84億5100万円(32.1%増)、経常利益7億9900万円(同32.0%増)と、ともに過去最高となった。

不動産仲介手数料は35億1700万円(同5.0%増)、受託件数2573件とともに過去最高。4~6月の契約も12億8000万円(同3.2%増)と過去最高であった前年を上回る状況と好調を維持。八潮、金町、戸田の3カ所への営業所出店、取引平均価格のアップに加え高い手数料率などで大きな伸びとなった。23年度の計画は仲介手数料40億4600万円(同15.0%増)だ。

また、中古再生事業は専門部署「Re:polusPJ課」の立ち上げにより契約件数が177棟(同32.1%増)、中古仕入件数が227件(同43.7%増)とそれぞれ大幅な増加で過去最高となった。「循環型のビジネスモデル構築に向けて展開を強化」(中央住宅.品川社長)していく考えで、23年度は契約件数280件(同58.2%増)、中古仕入が227棟(同32.2%増)と大幅増加を計画している。今後、店舗展開にさらに力を入れる考えで、8万人の商圏に1店舗の設置を目指している。「地域密着を進め分譲用土地、不動産仲介、空き家などさまざまな情報をグループ全体の力にしていきたい」(品川社長)という考えだ。

リフォーム事業も好調。受注高105億200万円(同12.0%増)、売上高100億4800万円(同11.5%増)とともに過去最高となる初の100億円超えとなった。補助金活用を含めた改修提案、エネルギー価格高騰にともなう太陽光発電や蓄電池の需要の高まりなどで受注が増加した。太陽光発電と蓄電池の受注高は6億7000万円(同65.4%増)と約1.7倍もの伸びである。また、イベントやセミナーなどを通じて既契約者のリピート契約が同15%増、中古.仲介物件からの受注高が同42%増と、さまざまなチャネルからのリフォーム受注が増加している。
23年度の計画は、受注高123億8100万円(同17.9%増)、売上高120億3000万円(同19.7%増)だ。

プレカットの外販数も過去最高
生産力強化、構造計算業務も拡大

プレカット事業は、外販売上棟数3万9096棟(同8.8%増)。坂東工場の生産力強化、前年度の富士工場と佐賀工場の増設分の本格稼働により過去最高となった。生産数は133万坪だ。

22年度は、同グループ初となる九州本社のポラテック九州を設立し、ポラテック西日本の九州地域のプレカット事業を継承、23年3月に事業を開始した。また、25年施行の4号特例縮小に向けて中小事業者に対して設計業務を含めた提案を強化し、許容応力度計算の売上高棟数は同12%の伸びとなった。木材供給が安定しているなど環境もよく、引き続き4号特例縮小に伴う構造計算業務の提案などを強化する。また、独自の工法技術で一般流通材とプレカット加工技術を活用した非住宅木造建築物の普及も進める。23年度は生産数160万坪、外販売上棟数45364棟(同16.0%増)を計画している。