2023.6.9

(一財)日本建築センター、事業が好調に推移、コロナ禍前の水準に

SDGsやLCCO2など新たな取り組みも

2022年度はコロナ禍の収束などを背景に事業が好調に推移、各事業量が大きく増加した。今年度は建築物省エネ法や建築基準法の改正の順次施行を踏まえ体制の拡充などを進める。

(一財)日本建築センターの事業が好調だ。22年度、ほとんどの事業において前年の事業量を上回り、好調な推移となった。

昨年度は年度後半ごろからコロナと経済の両立が進み、社会が平常化へと向かった。その一方で、資材高騰やエネルギー価格の上昇が急激に起こり、建築業界にも大きな影響を与えている。こうしたなかで「先行きの不透明感はあるものの、企業の投資意欲は非常に高く、事業量は前年を大きく上回ってほぼコロナ前の水準に戻ってきた」(橋本公博理事長)と、各事業の取り扱いが増えている。

橋本公博理事長が23年度の方針などについて発表した

事業別にみると、建築確認検査等事業は大型物件が好調に推移し計3264件(前年度比16.4%増)と大幅増加、平年ベースに戻した。

住宅性能評価事業は設計評価が4577戸(同31.8%増)、建設評価が3041戸(同7.7%減)。建設評価の減少は前年の設計評価減少に伴うものである。

省エネ性能判定等事業は、BELS評価やCASBEE評価認証を含め337件(同13.6%増)、構造計算適合判定事業も1451件(同1.7%増)と好調な推移だ。

また、建築基準法の性能評価や品確法の性能認定などの評価・認定・認証などを行う技術評価事業は計7977件(同9.6%増)。特にBELS評価(88件、同18.9%増)や技術評価は予算を大きく上回る事業量となったという。

講習・出版事業はコロナ禍前の水準に戻らないものの、全体としては予算を大きく上回り、経常収益は29億6630万円と、同7.4%増の見込みだ。

23年度も前年度比増を見込む
省エネ基準適合義務踏まえ体制強化

今年度は、さらに経済の正常化が進むとみて、昨年度を上回る事業量確保に取り組む。

建築確認検査や省エネ性能判定等事業は、改正建築物省エネ法、改正建築基準法の順次施行に対応。評価・評定業務については、省エネ性能や木材利用に関する評価を積極的に推進していく考えだ。特に省エネ関連では25年度に導入される省エネ基準への適合義務化を踏まえ、実施体制の拡充などを図る考えだ。また、旧38条認定建築物の増改築などの要望が多数寄せられているといい、審査や評価などの事業を強化する。

新たな取り組みとしては、昨年末にSDGsの取り組み方針を掲げたことを踏まえ、事業を通じた目標達成、また、同センターの活動自体を通じた目標達成に取り組みを積極的に推進する。

また、建築物の建築・運用・廃棄までのトータルのLCCO2を的確に評価できる仕組みについて、建築技術研究所のテーマとして取り組む。ただ、資材・部品の評価や廃棄の評価など同センター単独では難しいことから、関連する団体などと協力して取り組みを進めていきたい考えだ。