脱炭素から多様化する価値観まで時代のニーズに応える住まいづくり
2022年度住宅新商品
2022年の持家の着工戸数は25万3287戸、前年比11.3%減と大幅に落ち込んだ。
大手各社の受注を見ても2022年は厳しい状況が続いた。
建築価格の高騰、経済の先行き不透明感などを背景に先行は不透明だ。
一方、住宅を取り巻く環境は劇的な変化が続く。
脱炭素化など環境問題や自然災害への対策は待ったなし、多様化・個性化などユーザーニーズは細分化が進む。
こうしたなかで住宅各社は、今、求められる住まいをどのように描いているのだろうか。
2022年度に発売された住宅新商品から、その姿を追った。
脱炭素化がスタンダード
LCCMやG3の商品開発が加速
国は「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、住宅政策においても建築物省エネ法の改正、数々の省エネ性能向上を促す支援策など、その対策を加速させている。その一方で、エネルギー資源の輸入価格高騰から電気料金やガス料金の値上げが続くなか、社会的に省エネや節電などの意識も急速に高まっている。こうしたなかで住宅の省エネ性能の向上が急速に進む。一つのベンチマークとなっているZEHだが、新築戸建て住宅におけるZEH化率は、2021年度で26.8%、特にハウスメーカーにおいては61.3%となっている。
2022年度に発売された住宅の新商品をみても、ZEHレベルの標準化が相次ぎ、太陽光発電や蓄電池の採用などによりさらなる省エネ・創エネ、そしてLCCM住宅へといった流れが顕著だ。
住友林業は、環境フラッグシップモデル「LCCM住宅」を発売した。優れた断熱性能、高性能設備機器、大容量太陽光発電システムなど創エネルギー機器を駆使、木の家の利点を生かして住宅のライフサイクル全体でCO2収支をマイナスとする。木造による原料調達から建設までのCO2排出量が少ないうえ、再生可能なバイオマス燃料を乾燥工程に活用した国産材を構造躯体で採用。また、独自の木質梁勝ちラーメン構造「ビッグフレーム構法」により将来の間取り変更にも柔軟に対応し、建設、改修、解体時のトータルでCO2排出量を抑える。モデルプランで試算した炭素固定量はCO2換算で1棟当たり約18t−CO2と、約0.3haの杉林が50年間に吸収するCO2量に相当する。
パナソニック ホームズも、建設から解体までトータルのCO2排出量をマイナス化する「カサートX 平屋LCCMモデル」を発売した。高い断熱性能、省エネ性に優れた全館空調システム「エアロハス」、平屋の広い屋根を生かした大容量の太陽光発電システムにより、年間光熱費は0.3万円と、太陽光発電システムを搭載しない場合に比べ約20万円の低減となる。特に「エアロハス」は、一般的な全館空調システムと比較して、宅内給気過程の地熱利用や高効率専用エアコンの採用などで、消費エネルギーを約26%削減する。深い軒下が室内外を自然に繋ぐ「軒下屋外テラス」、床面を上げ下げした「ダウンフロア」や「アップフロア」、屋根裏に設けた「ロフト」など、ニューノーマルの暮らしに、家族の繋がり方を考えた多彩なプランを提案する。
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