2023.3.6

住友林業、米・住宅事業が貢献し大幅な増収増益決算

今期の国内住宅事業は資材コスト減、価格改定効果で増益を見込む

2022年12月期決算は、好調な米国の住宅事業が貢献し増収増益で利益は過去最高を更新した。国内住宅事業はセミオーダー型住宅の拡販に注力するほか、ZEHの拡販に力を入れる。

市場環境について説明する光吉敏郎社長

住友林業の2022年12月期決算は、売上高1兆6697億700万円(前期比20.5%増)、経常利益1949億9400万円(同41.6%増)の増収増益となった。大きな柱である海外住宅・不動産事業が大きく貢献したほか、円安の影響もあり経常利益、当期純益とも過去最高益を更新した。

23年12月期は、売上高1兆5980億円(同4.3%減)、経常利益1200億円(同38.5%減)の減収減益を見込む。利益の多くを占める米国の住宅市況が悪化、完全な回復には時間がかかると見る。

セグメント別にみると「木材建材」は売上高2737億円(同26.2%増)、経常利益149億円(同49.0%増)の増収増益。輸入木材・国産材が高値で推移したことによる流通事業が増益に貢献した。今期はバイオマス燃料などの販売強化、製造事業会社の収益改善などで売上高、経常利益ともにほぼ横ばいを計画する。

住宅・建築」は5335億円(同4.4%増)、経常利益159億円(同19.1%減)の増収減益。販売単価の上昇などで売上高は増加したが、利益面では建築資材コストの上昇が響いた。戸建注文住宅の売上高は3579億円(6.6%増)、棟数ベースでは8300棟(同0.6%減)となった。棟数ベースではほぼ横ばいだが、単価は4150万円と同6.8%増加したことで売上高は増加した。一方、受注は3526億円(同1.6%減)、棟数ベースで8031棟(同7.3%減)。コロナ禍での需要の一巡、2021年の住宅ローン減税の見直しにともなう駆け込みの反動で金額・棟数とも前期を下回った。

一方、賃貸住宅の売上高は146億円(同20.1%減)であるが、受注は163億円(同16.7%増)と好転し始めている。

今期の住宅事業は売上高5190億円(同2.7%減)と減収を見込むが、経常利益は235億円(同47.8%増)の増益を見込む。木材市況の軟化に伴う資材コスト減少、これまでの価格改定の効果で収益が改善する。戸建注文住宅においては特にセミオーダー型の「フォレストセレクション」の拡販を図る。「前期の受注が厳しいなかで新規の土地なし客、3000万円未満の顧客が減少した」ことから、この層に向けての営業を強化する。また、引き続き設計力を生かしたプラン提案やウェブマーケティング、ZEHの拡販に力を入れる。

売上高の約半分を占める「海外住宅・不動産」は売上高8487億円(同31.7%増)、経常利益1613億円(同54.6%増)と好調だ。国別にみると、特に好調なのが米国の戸建住宅。販売戸数は1万244戸(同8.8%減)と、工期長期化の影響を受け前期を下回ったものの、販売金額は6839億円(同34.1%増)と大幅な増加。効果的な値上げが奏功した。

今期は売上高8050億円(同5.2%減)、経常利益850億円(同47.3%減)と減益を見込む。米国の戸建住宅事業が市場の減速や土地・建設資材コスト上昇で減少を見込む。