ウッド・チェンジへ 進む法改正、技術開発、仕組みづくり

2050年カーボンニュートラル実現に向けて、炭素貯蔵効果が期待でき、再生可能な循環型資源である木材を建築物に利用しようとする機運が高まっている。国からも一般建築も含めて木造化を推進する「改正木促法」の施行や、国や自治体、木材関係事業者が協定を結び、建築物への木材利用を促進する「建築物木材利用協定」制度の新設など、「ウッド・チェンジ」を促進する法改正や環境整備が進む。民間事業者も、この時流に乗ろうと技術開発、仕組みづくりの動きを活発化させている。

伐採期を迎えた国産材の利用拡大に向けて、建築物の木材利用を促進していこうとする機運が高まり、木造建築市場にかつてない追い風が吹いている。また、脱炭素、SDGsといった観点からも、循環型資源であり、炭素貯蔵効果が期待できる木材を建築物に積極的に活用していこうとする動きが広がっている。

中でも新市場として期待を集めるのが中大規模木造市場だ。人口減から新設住宅着工戸数が減少することが見込まれる中で、非住宅、中高層住宅や店舗・事務所をはじめ住宅以外の建築物での木材利用の促進を進め、脱炭素化、SDGsに貢献していこうという動きが活発化している。

ただし、2021年に着工された非住宅・中高層建築物の木造率は未だ6%と低い状況にある。

こうした中で、林野庁は、2019年から「ウッド・チェンジ」というスローガンを掲げて、川下の木材需要を喚起する施策を展開する。住宅や非住宅、家具や日用品まで、様々なものを木に変えていこうという運動だ。「ウッド・チェンジ」では、非住宅、中大規模建築を重要なターゲットとして定める。現状、コンクリート造、鉄骨造がほとんどで、木造の割合はわずかである非住宅を木造にチェンジすることで、木材利用の拡大を目指す。そこで建築主を加えた形で、川上から川下までの事業者をつなぐ「ウッド・チェンジ・ネットワーク」を立ち上げ、木材利用に関する課題の特定や解決方法、木材利用に向けた普及のあり方などについて協議、検討を行い、木材が利用しやすい環境づくり、日本全国に木材利用を広げていくプラットフォームづくりを進める。


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