令和5年度の行政施策 住宅産業はどこに向かうのか
脱炭素、ストックなど、時代の行方を示す
令和5年度の各省庁の施策が出揃った。
住宅関連では、やはり脱炭素化に関する施策が目白押しでZEH推進など住宅の省エネ性向上や木材利用の促進が打ち出されている。
また、既存住宅の質向上や空き家活用といったストック市場の追い風となる施策も数多い。
社会環境、経済環境の変化のなか、先行きの見通しが不透明ではあるが、こうした施策を追い風に新たなビジネスチャンスへとつなげたい。
脱炭素化を加速
新築、既存の省エネ性向上の施策相次ぐ
2050年カーボンニュートラル、2030年の温室効果ガス46%削減(2013年度比)など国全体が大きく動く。家庭部門のCO2排出抑制の観点から、住宅にはさらなる省エネ性能の向上が求められており、その対策が急ピッチで進められている。
昨年の建築物省エネ法の改正により2025年の省エネ基準の適合義務化が決まり、その基準は2030年にZEHレベルに引き上げられる予定だ。性能表示制度の断熱等性能等級にZEHレベルの等級5が新たに設定、さらに上位等級である等級6、7も設定された。省エネ性向上が求められるのは新築住宅だけではない。むしろ膨大な数にのぼるストック住宅の対策なしに住宅分野の脱炭素化は語れない。また、構造躯体の断熱化だけでなく、省エネ設備・創エネ設備の導入拡大も不可欠だ。
こうした動きのなか、2023年の施策は、住宅の省エネ性能のボトムアップを行うとともに、一歩上のZEHレベルの実現、先行する事業者にはさらに上のレベルを、といった動きを支援する制度が目白押しだ。
次世代のスタンダード目指し
ZEH推進を支援
先の建築物省エネ法の改正により2025年の省エネ基準の適合義務化が決まったが、その先に控えているのが義務基準のZEHレベルへの引き上げだ。国は「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現」を目標に掲げており、その推進に力を入れている。住宅性能表示制度における等級5の創設、長期優良住宅などの省エネ要件の引き上げなどを行う一方で、支援制度というインセンティブの面からもZEH普及を後押しする。
昨年の補正予算で、国土交通省が新たに創設した支援制度が「こどもエコすまい支援事業」だ。「子育て世帯・若者夫婦世帯による住宅の新築」と「住宅のリフォーム」の2本立てであり、基本的には「こどもみらい住宅支援事業」を引き継いだものであるが、一番の違いが新築住宅の対象を「ZEH住宅」に絞り込んだことだ。「強化外皮基準かつ再エネを除く一次エネルギー消費量▲20%」に適合する住宅に対して、戸当たり100万円の補助を行う。
一方、これまで実施されてきた環境省、経済産業省、国土交通省の3省連携によるZEH・ZEH‐Mへの支援も引き続き行われる。戸建住宅については、3省連携で「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」を実施する。戸建住宅のZEH化注文住宅・建売住宅については、ZEHの交付要件満たす新築住宅に対して定額補助55万円/戸、ZEH以上の省エネ性能を持ち、設備の効率的運用などで再エネの自家消費率拡大を目指したZEH+の戸建住宅に対しては定額補助100万円/戸を補助する。また、これらのZEHとZEH+に蓄電システムの導入、CLTなど低炭素化に資する素材を一定以上使用、または先進的再エネ熱利用技術を活用する場合には別途補助を行う。
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