ウイング、北九州市ら5者と建築物木材利用促進協定を締結
カーボンニュートラルの実現へサプライチェーン構築
2×4コンポーネント大手のウイングは、北九州市をはじめ林業、木材流通・加工及び住宅事業者の5者と建築物木材利用促進協定を締結した。地域材活用のサプライチェーンの構築、カーボンニュートラルへの貢献を目指す。
森林は樹木の成長過程において炭素を吸収しており、この炭素を貯蔵した樹木を木材として加工し、建築物などに活用することで、カーボンニュートラル、地球温暖化防止への貢献が期待できる。国は、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用促進に関する法律」の成立に伴い「建築物木材利用促進協定」制度を創設。建築主である事業者等と国または地方公共団体が協定を結び木材利用に取り組む制度で、国・地方公共団体は、協定を締結した事業者等へ必要な支援を行う。川上と川中の事業者が参画し、サプライチェーンを構築することで、地域材の利用促進、木材の安定調達、安定供給にもつながっていくことが期待される。
伐採から利用まで一貫して北九州産材活用を推進
北九州市は2050年の「ゼロカーボンシティ」の実現を目指し、カーボンニュートラルにつながる施策を全庁的に取り組んでいるが、木材生産をはじめとした森林活用は十分に進んでいない状況であった。そこで今回、北九州市をはじめ、北九州市森林組合、伊万里木材市場、ウイング、大栄産業の5者は、建築物木材利用協定を締結した。①北九州地域産木材の地産地消の仕組みづくり、②木材の地産地消による林業・木材産業の活性化、③地域森林資源の循環利用によるカーボンニュートラルの実現、④北九州地域産木材のトレーサビリティと炭素貯蔵量の見える化を目的に、5者が連携して木の伐採から木材利用まで一貫して行う体制を構築し建築物の木材利用に取り組む。この5者協定の取り組みを通じて、2027年に年間、国産材5980㎥、うち北九州産材1000㎥の木材利用の創出を目指す。
なおウイングは2022年2月、2×4の強みを生かして、川上から川下までの事業者が連携し、チームで脱炭素、無垢材活用を推進する会「カーボンニュートラル 無垢材活用の会」をスタートしている。「少材種」、「無垢材」、「簡易仕口」で対応できる2×4ならではの特性を生かし無垢材の活用を推進する。また、2×4は主要構造材にJASの無垢製材品を使用する工法であり、かつ、シンプルかつ欠損の少ない加工で済むため、乾燥機とプレーナーさえあれば、製材工場は既存設備のままで対応できる。「少ない設備投資で既存のものを生かした“ブラウンフィールド型”のサプライチェーン構築が可能になる」(同社)。無垢材の歩留りを高め、収益力を高めるために、構造設計ルールの統一化を図り、商流の改革にも取り組む。さらに林野庁が示す「建築物に利用した木材に係わる炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」を活用して住宅に使用した木材による「炭素固定量」を数値で明示する。木材を供給する住宅事業者などに対して、木拾いの積算データを使用して炭素貯蔵量を算出し提供する。無垢材活用を推進する会で蓄積したノウハウも、北九市などとの5者協定の取り組みにフィードバックし相乗効果を創出していきたい考えだ。
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