山西、省エネへの対応で工務店34社と研究会を発足
省エネ住宅の企画モデルを開発、DXツールで業務負担軽減にも取り組む
山西は地域工務店34社と研究会を立ち上げた。主に住宅の省エネを軸に、企画型住宅の開発、DXツールの導入、研修会の開催など“未来につなぐ家づくり”に取り組む。
建材販売事業者の山西(愛知県名古屋市、西垣洋一社長)が、地域工務店34社をメンバーとする「未来につなぐ家づくり研究会」を立ち上げた。
建築物省エネ法の改正により2025年に住宅への省エネ基準への適合が義務化されることが決まり、2030年にはZEHレベルへの引き上げが予定されている。住宅の省エネをめぐるドラスティックな国の動きに対応しきれていない地域工務店は少なくない。
こうしたなか山西は「これからの新しい家づくりを支援し、地域の住宅事業者が一棟でも多く受注できるように」(西垣昭宏常務)と一年ほどの準備期間を経て2022年9月に研究会を発足、毎月一回の研修会・ワークショップを開催している。内容は集客、接客、プラン提案など主に受注強化の研修で、合計10回を計画する。山西の呼びかけに参加した工務店は34社で、基本的には年間10棟以下の事業者がほとんど。また、水回り、外壁、窓、屋根、断熱材といった建材メーカーや太陽光発電の企業など13社が協賛している。
同研究会が描く家づくりのコンセプトは「モッタイナイ」。せっかくの家づくりなのに、冷暖房費がダダ漏れなんてモッタイナイ、メンテナンスにお金をかけるなんてモッタイナイ、自然災害に負けるなんてモッタイナイなど。この考え方を仕様に落とし込み、省エネ性能はZEHレベルを標準に、最低H28年基準レベル、最高G2レベル。外壁材・屋根材はメンテナンス周期が最も長いものを標準、太陽光発電設備を標準、環境負荷の小さい地域材・国産材の採用、などとなっている。
同研究会のポイントが「省エネ住宅の企画モデル」を開発したことだ。施主の一次対応の段階で、自分たちの家づくりを分かりやすく伝えるためにも「商品」は重要となる。そこで研究会が目指す家づくりを山西が「省エネモデル」として落とし込んだ。このモデルをプラットフォームとして会員工務店が活用していく。
具体的には、ZEH基準をはじめ3つの省エネレベルの仕様を設定、それぞれ25、30、35坪の3パターンのモデルを作った。一次対応でこのモデルを提案し、二次対応でプランの変更などを行って提案を深めていくことを想定している。
もう一つ特徴的な取り組みが省エネ設計業務の合理化だ。省エネを巡る制度改正により、住宅事業者の業務負荷の増加が懸念されている。省エネ計算、仕様や価格、性能説明などさまざまなツール・資料を作成していかなければならない。これらをどのように解消するかは大きな課題だ。同研究会にはコンピュータシステム研究所も参画しており、同社の住宅営業支援システム「ALTA Revolution」を活用することで業務負担の解消や業務の効率化を図っていきたい考えだ。
「国の流れを踏まえ、これから自分たちがどのような家づくりに取り組んでいくべきかの危機意識は強い」(西垣常務)と、時代の変化のなかでの新たな住宅の在り方、工務店の在り方を追求していく。
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