コロナ禍の価値観変化を 追い風に市場は拡大へ 価値を高める買取再販の取り組みが注目
拡大必須の注目マーケット 既存住宅流通市場
新築・中古のこだわりが薄れるなか既存住宅流通に広がりが出ている。さらにテレワークの一般化で郊外居住の需要が高まり、既存住宅市場の活性化につながっている。買取再販の動きも活発で、2023年の市場拡大に期待が高まっている。
「住宅・土地統計調査」によると、平成30年(2018年)時点の既存住宅流通量(持家として取得した中古住宅数)は計16万戸で、内訳は一戸建・長屋建が8万1000戸、共同建・その他が7万9000戸となっている。新設住宅着工戸数に占める割合は前年から1.2ポイント上昇したものの14.5%に過ぎない。住宅政策がストック重視へと舵を切るなか、国はその市場活性化に力を入れる。21年に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」では、既存住宅流通及びリフォームの市場規模を18年の12兆円から30年に14兆円、そして長期的目標として20兆円という成果指標を掲げた。
具体的な施策では、17年に「特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度(安心R住宅)」を創設、既存住宅のマイナスイメージを払拭し、積極的に既存住宅を選択できる環境整備を図った。国交省によると、21年度の実施状況(調査報告書の提出件数)は1253件であり、累計は5144件となっている。
国の取り組みの一方で、ユーザーの意識も変わってきた。(公社)全国宅地建物取引業協会連合会と(公社)全国宅地建物取引業保証協会の「不動産の日アンケート」(2022年2月)によると、「既存住宅(中古住宅)に抵抗はありますか?」との問いに、「まったく抵抗がない」(13.4%)と「どんな状態であろうと抵抗がある」(15.2%)と、ともに一割強にとどまり、「きれいであれば抵抗はない」(35.2%)と「売買金額と状態のバランスをみて判断する」(36.3%)と、選択肢として既存住宅を視野に入れる割合は7割に達している。
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