[2022年の重大ニュース]原油価格高騰、円安で物価高に

住宅値上がりでフルオーダーの注文住宅が苦戦

木材、建材、設備など、住宅資材全般の高騰が続く中で、住宅価格高騰の影響で住宅販売にブレーキがかかり、住宅着工は伸び悩んだ。特にフルオーダーの注文住宅の苦戦が続く。

2022年は、ウッドショック、アイアンショック、ロシアのウクライナ侵攻などの影響により、建築資材全般において物価高騰が襲う1年となった。

異常ともいえるスピードで円安も進む。3月9日までほぼ1ドル=115円台だったものが、3月22日に120円台となり、その後も円安は続き、6月には135円台に、そして9月には140円台になった。11月末時点で138円台となっている。一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は、「日本の輸入価格が高騰しているのは、基本的にアメリカのインフレとウクライナ危機によって原油などの原材料価格が高騰しているという海外要因による。しかし、円安がそれに拍車をかけていることは間違いない」と指摘する。

資材高騰の影響に伴い住宅価格の値上がりも続く。建設物価指数によると、9月の集合住宅(鉄筋コンクリート造)の工事原価は、前月比1.4%上昇、前年同月比9.5%増。住宅(木造)の工事原価は、前月比0.5%上昇、前年同月比11.8%増となった。(一社)住宅生産団体連合会がまとめた「2021年度 戸建注文住宅の顧客実態調査」によると、建築費は3815万円で2020年度より52万円高くなり、住宅取得費合計は5337万円で、123万円高くなっている。大手ハウスメーカーのトップは、「鋼材、木材、非鉄、樹脂など、資材高騰は2021年度後半よりさらに加速している。多くの住宅会社は、2020年度比で1棟当たり約250万円前後の価格アップをせざるを得ない状況と見ている」(2022年10月時点)と話す。

住宅価格高騰の影響で住宅販売にブレーキがかかり、住宅着工も伸び悩んだ。国土交通省が11月30日に公表した「建築着工統計調査」によると10月は、前年同月比1.8%減の7万6590戸、3カ月ぶりの減少となった。貸家は同7.3%増の3万1996戸、分譲住宅は4.8%増の2万1841戸と好調に推移した。だがその一方、不振が続くのは持家で、同18.7%減の2万1834戸となり、11カ月連続で減少した。

注文住宅の受注失速の傾向は、(一社)住宅生産団体連合会の「経営者の住宅景況感調査」にも表れている。第2四半期(2022年7~9月)の注文住宅の景況感指数は、受注戸数でマイナス82ポイント、受注金額でマイナス77ポイントとなった。前回調査予測では戸数はマイナス43ポイント、金額は27ポイントを予測していたので、それぞれ見通しを大幅に下回った。金額・戸数ともに4期連続のマイナスとなった。会員企業からは、「資材価格の高止まり、生活全般での物価が上昇、今後の経済情勢の不透明感などから、戸建住宅を中心に当面予断を許さない状況が続くものと認識」、「上半期同様、物価高騰を懸念し、様子見、先送りの傾向が続きそう」といった厳しいコメントが目立った。

住宅景況感指数の推移

分譲住宅を強化
より短期に収益確保


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